2010、夏祭り:君の隣23


 浴室には粘膜同士が擦れる音と言葉にならない祐二の喘ぎ声で満たされている。

 勃ち上がった自身からは触れてもいないのに先端から溢れた蜜が浴室の床や太ももを汚していた。

「祐二……、いい?」

 貴俊に聞かれても返事は言葉にならず、頭を上下に振るだけで精一杯だった。

「あ……んっ」

 後孔を埋め尽くしていた指と舌が抜かれ、自然と切ない声が出てしまう。

 少しの物足りなさを身体が感じるよりも早く、柔らかく蕩けた後孔に熱い切っ先が当てられる。

 祐二は浴槽を掴み直して喉を鳴らした。

(熱い、それに硬くて……)

 触れただけでヌルッとした感触に後孔は誘うようにひくついた。

「いくよ?」

 声を掛けられると同時に指とは比べ物にならない質量が押し入ってくる。

「…………ッ」

 あまりの大きさに言葉を失った祐二は思わず腰を引いた。

(無理、ぜってぇ無理。いつもと全然違うじゃねぇか!)

 いつもは苦しくてもそれなりに大丈夫だと思う部分があった。

 だがこれは今までとはまったく違う、これが本来の貴俊の大きさだったのかと驚くほど、大きく張り出した部分が入り口を限界まで開く。

「祐……二っ」

 貴俊も辛いのか苦しそうな声を吐き、中に入ろうとしていた動きを止めた。

「祐二、辛い?」

 何とか首を横に振ったものの、苦しさと痛みに眦には涙が浮かぶ。

「でも……」

「いっ……から! しろ……っ」

 やせ我慢とは少し違う、強がっているわけでもない、どんなに苦しくても今は受け入れたいという思いが勝っている。

 少しでも上手に受け入れるようにと意識して息を吐く、迷っていた貴俊も覚悟を決めたのかゆっくりと息を吐くと腰を進めて来た。

「うう……っ」

(苦しいっ)

 すべてを呑みこむまでが一番苦しいことを分かっていても、呼吸は浅く速く乱れて身体に不自然な力が入る。

「祐二……息、吐いて。も……少し……っ」

 切なそうに掠れる貴俊の声。

 トロトロと蜜を零す前を扱かれて、胸の先で尖る小さな粒を指先で転がされる。

 少しでも楽になるようにしてくれているのだと分かると、祐二はさらに深く貴俊を受け入れることが出来た。

「ああ……ああっ!!」

 ググッと押し入って、内蔵を押し上げられるような感覚に顎が上がる。

 喉を反らせて一際高い嬌声を上げた祐二は荒い息をする貴俊に優しく抱きしめられた。

「全部……入ったよ」

 言われるまでもなく埋め尽くされる感じで伝わっていた。

 あれほど解されていたにも関わらず、貴俊を咥えこんでいる部分が熱くてジンジンと痛む。

「……祐二」

 背中や首筋に何度もキスをされていた祐二は名前を呼ばれて後ろを振り返った。

 こめかみから汗を滴らせる貴俊は頬にキスをして、それからゆっくりと唇を重ねてきた。

 一つに繋がって交わすキスの甘さはまるで麻酔のように痛みを緩慢なものへと変えていく。

「んぅ……ふっ」

 舌を絡め合い互いの唾液が交じり合う音さえも気にならないほど激しく貴俊の舌を求めた。

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