2010、夏祭り:君の隣22


 柔らかい舌を難なく受け入れられるようになれば、祐二が貴俊の指を受け入れるのに時間は掛からなかった。

 舌先でたっぷりと濡らされて、解された蕾が人差し指を根元まで受け止めると、完全に勃ち上がった自身の先端からは、さっき吐き出したにも関わらず新たな蜜が溢れ、扱く貴俊の手を濡らしてその動きを助けていた。

「貴俊、も……いいから、早く、早くしろって」

 快感の波に呑まれ自分から尻を突き出して愛撫される、時々顔を覗かせる理性の自分がその姿に恥ずかしさを責める。

 多少の痛みを感じたとしても早く終わらせてしまいたいと思うが、貴俊は決してそれを良しとはしなかった。

「ダメだよ。祐二の身体を傷付けたいわけじゃない、気持ちの良いことだけをしてあげたいの」

「大、丈夫。大丈夫だから……も、早くっ」

「じゃあ……もう一本上手に食べられたら、ね」

 抜き差しをしていた指の動きが止まり、新たな指が入り口に触れた。

 たったそれだけのことなのに、驚いた蕾は萎縮するように入っている指を締め付けると、貴俊が喉を鳴らして笑った。

「まだ入れてないよ。ちゃんと緩めて?」

「わっ……て、る」

 最初の頃は分からなかった「緩める」という行為も、今はぎこちなくだが少しだけ出来るようになった。

 後ろに意識を集中させて力を抜こうとすると、緊張を解こうとしてくれているのか貴俊の唇が背中に何度もキスをする。

「あぁ……っ」

 指が二本になっただけで圧迫感はさっきの非じゃない。

 痛みは感じないものの押し広げられる感覚に息を詰め、自然と指を拒むように蕾に力が入ってしまう。

「祐二……もう少し、頑張って」

「んっ、うう……っ」

「上手だよ……ほら、全部入ったよ」

 最後は一気に押し込まれたのが分かった。

 貴俊の言葉にようやく息を吐いた祐二は浅い呼吸を繰り返していると、すぐにいつもとは違うような感じに気が付いた。

「貴……俊?」

 浴槽の縁に額を乗せ羞恥と快感に耐えていた祐二は、のろのろと顔を上げてゆっくりと首を回した。

(今までだってされたことがあるはずなのに、なんか違う……)

 貴俊は言いたいことが分かったのか、振り返った祐二に向かって小さく頷いた。

「そうだよ。人差し指と……人差し指が入ってる。分かる?」

 何の指が入っているかまでは分からなかった、ただいつもと違う感覚に戸惑っただけだ。

 どうしてそんなことをしたのか貴俊の真意が分からず、不安になった祐二が口を開こうとすると、貴俊は祐二を見つめたままゆっくりと顔を指の方へと近づけていく。

(ま、まさか……)

 貴俊の息が掛かるほど近くなるほど、挿し込まれた二本の指が左右に引かれた。

「やだ……ッ! やだ、貴俊っ!!」

「暴れないで、祐二。気持ちよくしてあげるだけだから」

 逃れようと腰を左右に揺らしても押さえ込まれて逃げることが出来ず、祐二は後ろの蕾に三つ目――今度は舌先を呑みこまされた。

「ああ……っ、やだ……」

「ンッ……」

 開かれて出来た狭道を柔らかい舌が何度も出入りする。

 細くされた舌先だけだったのが、次第に厚みのある根元まで挿し込まれる頃には、人差し指はさらに左右に広げられていた。


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