2010、夏祭り:君の隣20
少しはにかんだような貴俊の笑みに見惚れ、祐二は貴俊の手に導かれるまま熱いものに触れた。
小さい頃から貴俊に対して色々なコンプレックスを抱いている祐二が、口には出したくないけれど一番大きなコンプレックスを抱いているもの。
同い年で生まれた頃から同じように育って来たのに、じっくり見るまでもなくあきらかに成長の度合いが違う。
体格が違うから仕方ないと自分に言い聞かせても、形も大きさも違うものを目の当たりにすれば悔しくなった。
「動かして?」
唆すような甘い囁き声に、祐二はぎこちなく手を動かした。
(熱い、それに……すごい硬い)
上下に動かすとすぐ側にある貴俊の唇から零れた熱い息が耳にかかる。
貴俊も感じてくれているのだと思うと、握るその手に力が入り同じように握られている自身も強く握られた。
数分も経たないうちに静かな浴室には二人が手を動かす度に起きる濡れた音が響く。
二人の息遣いが早く激しくなればなるほどさらに手の動きも早くなり、先端から溢れ出す雫の量が増えると響く音も大きくなった。
「貴……っ、も……っ」
追い詰められるほどに快感に支配された身体が逃げ場を求めるように震え出す。
祐二は空いている方の手で貴俊の腕にしがみつき、逞しい貴俊の胸に顔を埋めた。
「手……はっ……せ」
「いいよ。このまま達って」
優しく促されて祐二は激しく首を横に振る。
達きたいけどまだ達きたくない、二人きりで何も考えられない蕩けそうな世界から放り出されたくなかった。
「何度でも達かせてあげるから。我慢しないで出して」
上下に擦るだけだった貴俊の手の動きは、言葉と共に変わり我慢すればするほど蜜を吐き出す割れ目へと集中する。
雫を掻き出すように指先で先端を割られて祐二は短く嬌声を上げた。
「あっ、やっ……」
「また溢れてきた。でも祐二はこっちの方がもっと気持ち良くなれるよね」
すぐにその言葉の意味は分かった。
視界から貴俊の姿が消え爆発寸前の自身が熱いものに包まれた。
「あぅ……っ」
跪いた貴俊の頭が揺れる度に手よりも強い快感が腰から全身へと一気に駆け巡る。
自分の足では立っていられないほどの快感に祐二は貴俊の髪を掴み、自然と腰を揺らしてより強い快感を欲しがるように貴俊の口の奥へと挿す。
「んっ、ふ……っ」
貴俊の唇に挟み込まれて扱かれ、その度に溢れる雫を貴俊の舌先が器用に舐めとる。
「も……出る、離……っ」
祐二は髪を強く掴んで貴俊の顔を離そうとした。
唇で扱かれながら強く吸われ、あっという間に頂点へと押し上げられて、喘ぎ声を止めることも出来ない。
「やっ、も……出、出……っ、やだ……っ」
口に出すことだけは嫌だと首を激しく横に振る祐二は、さらに強く吸われて堪らず腰を引こうとしたが貴俊の腕がそれを許さなかった。
(や……っ、本当にもう……やばいってのに……)
逃げようと腰を揺すれば追いかけようとする舌の動きが激しくなり新たな快感を生んだ。
「貴……貴俊っ、もう出ちゃ……う」
これ以上は無理だと訴えた祐二は視界の片隅で貴俊が頷くのを見ると、すべてを口の中に含まれて強く吸われると同時に放った。
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