『いつかの夏へ』
26

 高層マンションの広い部屋の広いベッド、贅沢すぎるほどの空間で雅樹と真子はぴったりと身体を重ね合わせていた。

 瞳に映るのは愛する人の潤んだ瞳と紅潮した頬、耳に聞こえるのは愛する人の悦びの声、唇に触れるのは愛する人の熱い肌。

 そして愛する人と抱き合い満たされる感覚に酔いしれている。

 それはあの二階建て木造アパートの小さな部屋の小さなベッドの上、幼かった二人が互いのことしか見えずただ相手だけを求め愛し合っていた時と同じ。

 断続的な真子の喘ぎ声はもう何十分も続いている。

 声は掠れ涙は目尻を伝い、浮き上がった玉のような汗はピッタリと合わさった二人の胸の間に溜まっていた。

「はっ、はぁっ……真子っ、手を緩めて……」

 首に回されていた腕が解かれると雅樹は肩で息をしながら真子の腰を抱えると一気に体勢を入れ替えた。

 真子の腰を持ち上げ固定すると泣きそうな顔で真子が振り返った。

「やっ……これ、いやぁ……」

「気持ちいいだろ? 最後はちゃんと抱きしめるからっ……な、ほら……中がすごく良くなった」

 柔らかい腰に指が食い込むほど強く掴み揺する、埋め込んだ熱い塊を真子の蕩けそうな熱が情熱的に包み込んだ。

 一番嫌いな体位に泣き出しそうだった真子が後ろから突き上げられると力なく突っ伏してシーツの海に顔を埋めたままくぐもった喘ぎ声を漏らす。

「すげぇ、真子。めちゃめちゃ……エロ……ッ」

 雅樹は視線を落として二人が繋がっている部分を確認するように動きを緩慢にした。

 動きが緩慢になり嵐のような快感は薄れたが、逆に動きをハッキリと感じられ真子は入り口から奥まで襞という襞をなぞられる感覚に溺れた。

「また溢れてきた……これがいいのか?」

 滑りのよくなった中に喉を鳴らした雅樹が問いかけると真子の頭が力なく縦に数回振られる。

 昂った熱が少し治まっていき、余裕の出た雅樹は手を真子の前に回した。

「これなら俺を感じるだろ?」

 自分の胸を真子の背中に重ね合わせると体温を感じて真子が安心したように身体から力を抜く。

 汗ばむ白い肩と髪の毛が張り付いた細い首に何度もキスをしながら柔らかい胸を手の平で包み、普段は隠れているはずの茂みの向こうの核を指で挟み小刻みに震わせた。

「あぁ……あ、あっ、あぁ……」

「真子……お前が感じると俺もすげぇ……いいっ」

「ま、さきっ……も、もぅっ……」

「イキそう?」

 切羽詰ったように首を激しく縦に振る真子に雅樹はすぐに体勢を入れ替え、汗ばむ真子の背中に腕を回すとしっかりと身体を抱きこんだ。

 雅樹は一緒に昇りつめたいと自分の快感にも繋がるように激しい抽送を始める。

 上半身をピッタリと合わせ動きにくくても二人が一つになっている充実感が勝り腰だけを激しく叩きつけた。

「あぁぁぁ……っ」

 声にならない真子の喘ぎ声と一緒に柔らかな足で腰を引き寄せられた。

「真子……ッ、ダメだっ……もうっ」

 雅樹が声を上げ腰を叩きつけるように動かすと真子が悲鳴のような声を上げ雅樹の背中に爪を立てた。

 急にキツクなった締め付けに誘われるまま、雅樹もほぼ同時に熱い精を放った。

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