『いつかの夏へ』
25
わずかに硬さを失っただけのそれは奥深くまで入り込み真子の中心部を刺激する。
「ん……ふぅっ……」
「拗ねた真子のご機嫌取るために頑張らねぇと……なっ」
「べ……っつに、頑張らなくても……いいっ」
「拗ねてたことは認めるのか?」
「むぅぅぅっ……意地悪っ!」
「今さら。そんな俺でも好きなんだろ?」
何か言いたいのに言い返せない、そんな表情をする真子はガブッと雅樹の肩に噛み付いた。
「どうせなら……こっちにしろって」
まるで気にしていないように笑う雅樹は真子に向かって自分の唇を指差した。
(全然変わってない……んだもん)
余裕がなかったのは最初だけでもうすっかりあの頃のようにからかい上位に立つ雅樹の指が真子の顎を持ち上げる。
「痛くしちゃうからねっ!」
「どーぞ」
息巻いて啖呵を切って見せると雅樹は目を閉じて唇を差し出した。
ホントに痛くしてやるんだから! と一度は思い歯を剥き出して顔を近づけたもののキスを待つような雅樹の格好に躊躇する。
(……出来るわけない、じゃん)
きっとそんなことは雅樹の方はとっくに分かっている、だからこそ悔しいと思いながらも雅樹の思惑通りにしか動けなかった。
真子は雅樹の肩に手を置きながら唇を重ねた。
「痛くするんじゃなかったのか?」
「今日は……許してあげるの!」
「可愛くねぇの。キスしたいならしたいって言えよ」
「別に……したいなんて言ってない、し……」
雅樹のペースに巻き込まれるものかとあの頃も何度そう思ったか分からない真子はそのことを思い出したが形ばかりの抵抗を試みる。
だが次の瞬間、自分の体が倒れていくのを感じて慌てて雅樹にしがみついた。
「真子」
「な……な、に?」
「そろそろ、マジでいい?」
急に見せる男っぽい表情と声に真子はドキッとして何も言えなかった。
(やだ……私……)
今ので身体の奥がキュッとなってしまったことを隠そうとしたけれど、一つになっている雅樹の身体には真子の身体の変化がダイレクトに伝わった。
「……ッ、今のはキタッ」
「あ、あっ……今のは……」
慌てて誤魔化そうとする口を開いた真子の唇を指で制した。
恥ずかしさに泣き出しそうな真子の顔を撫で、ゆっくりと腰を動かし始める。
「俺も同じだろ……真子に感じてるの分かるか?」
「ん……すごい……っ」
「俺もすげぇ……いいっ」
完全に固さを取り戻した熱い塊は理性を少しずつ曖昧なものへと変えていった。
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