『拍手小説』
ぱ5-7
「いやぁぁ! こんな姿誰にも見せられないっ」
あっさり陸に掴まった麻衣。
首でチリンチリンと鈴の音がする。
可愛い子猫ちゃんが二匹。
デレデレの飼い主が二人。
「中塚さん、そろそろお開きにしませんか?」
「あぁ、そうだな」
飼い主達はニヤリと笑う。
「え? い、いいんですか?」
一人置いてきぼりな感がある心愛が口を挟む。
そう、結局何も話し合われていないんです。
けれど進行役の貴俊は胸を張った。
「こういうのは俺達が話し合うべきではなくて、pacoさんが考えるべきだと俺は思います」
「そうだ! アイツが考えればいいんだよ。何でも俺達を頼ろうとするなっつーの」
もっともらしい事を言っているように聞こえるだけだよ、それ。
そう突っ込みたいのを堪えながら白い目を向ける麻衣と祐二。
「と、いうことで……『第一回 ももゆめの未来を考えようの会』を終わります」
「うーっし! お疲れぇぃ!」
貴俊の言葉に意気揚々と立ち上がる陸、すぐに麻衣の手を引いて部屋を出る。
それに続いて貴俊と祐二が出て行く。
そして部屋に残されたのは心愛と茫然自失の紅蓮。
「つ、月守君……か、帰ろっか?」
「ん? あ、あぁ……」
「何だかよく分からなかったけど……楽しい人達だったね?」
間がもたないのを気にして心愛が話しかける。
だが返事をするつもりのない紅蓮はさっさと部屋を出て行く。
それを追いかけるように心愛がついて行く。
「あ、あの……月守君って……ロリコンなの?」
「バ、バカかお前っ! お、俺は……クソォッ!!」
後ろから遠慮がちに声を掛けた心愛。
振り返った紅蓮は下から見上げる心愛の視線にうろたえるとそこから走り去った。
「な、なんだったんだろう……」
一人残された心愛は首を傾げながらも姿を消してしまった紅蓮を追いかけるわけにもいかず諦めて帰ることにした。
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