『拍手小説』
ぱ5-6
参加不可能になった紅蓮は置いとくとして。
ようやく落ち着いた陸が一言。
「萌だろ。やっぱ定番の……ネコミミじゃね?」
ネコミミ。
その言葉に視線は祐二に集中する。
「な、何だよっ……」
「中塚さん、それはなかなかいい案ですよね」
「だろ? お前は話の分かる奴だなぁ」
なぜか陸と貴俊はテーブル挟んでガッチリと握手を交わす。
二人の男はニッと笑いながらテーブルの下から猫耳の付いたカチューシャを取り出した。
どこに隠してたんだよ、それ。
「祐二、こっち向いて」
貴俊は黒い猫耳。
「麻ー衣、可愛いっ」
陸は白い猫耳。
それぞれパートナーに装着する。
見せられないほどニヤけた顔。
「な、何で俺に着けるんだよっ!」
「祐二にはもう一つあるんだよ」
祐二の抗議など聞く耳なしの貴俊はまたテーブルの下に手を伸ばすと何かを取り出した。
そして祐二の首に手を回す。
チリン。
貴俊が手を離すと祐二の首には黒いリボンに金色の鈴が付いたチョーカー。
「か、可愛い〜っ」
自身も猫耳装着済みの麻衣が口元に手を当てながら祐二を見て目を輝かせる。
祐二、不本意ながらも麻衣に褒められて悪い気はしないらしい。
恥ずかしそうに俯きチリンと音を鳴らす。
「マニアックだな……」
「中塚さんの分もありますけど?」
そう言いながら取り出したのは白いリボンに鈴の付いたチョーカー。
貴俊から受け取った陸はニンマリしながら麻衣を見る。
だが危険を察知した麻衣はその場から逃げ出そうと立ち上がっていた。
―26―
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