『拍手小説』
ぱ5-5

「ということで……ももゆめに足りない萌は何か、各自出して下さい」

「萌って……メイドとか?」

 貴俊の言葉に思いついたようにボソッと呟いた麻衣。

 陸は口に運んでいた鶏団子をプッと吹き出した。

「――ッ! あっちぃっ! お前何やってんだよっ!」

 飛んで来た鶏団子が眉間に直撃した祐二が喚く。

 だが聞く耳なしの陸は手をプルプルさせながら麻衣を見る。

「メイド……もしかして麻衣、メイドに憧れてるの? ま、まさか……今の仕事辞めてメイド喫茶で働きたいとか?」

「ちょ、ちょっと……何言ってるの!? 例えばでしょ!」

「麻衣のメイド姿は見てみたいけど……だめだっ! 俺以外の野郎に麻衣の可愛いメイド姿なんか見せられるかっ! 絶対、絶対ダメっ!」

「だからぁ、例えばって言ってるでしょっ!」

「オイッ! 人に鶏団子ぶつけておいて訳分からねぇこと言ってんじゃねぇっ!」

「祐二、ほらオシボリで冷やそう?」

 冷たいおしぼりを祐二の眉間に当てる貴俊はヨシヨシと頭を撫でて宥める。

 ワァワァと喚く中でマイペースなあの二人。

 心愛のよそった鶏団子を食べる紅蓮は相変わらず無愛想だが心愛が声を掛ければ空になった皿を差し出す。

 それを嬉しそうに受け取る心愛。

 ある意味二人の世界を満喫中。

「井上さんは何かありますか?」

 祐二を宥めながら貴俊は一応進行役としての役目を果たすために心愛に声を掛けた。

「萌……ですかぁ」

 呟いて思案する心愛。

 そしてしばらく考えていた心愛は何か思いついたのかパッと顔を上げた。

「ロリとかショタ……とか?」

「ブファッ!!」

「つ、月守君?」

 心愛の言葉に突然吹き出した紅蓮。

 焦る表情の紅蓮に一同あ然とする。

「ゴ、ゴホッ……な、何でもない」

「水飲む?」

「わ、悪い……」

 差し出された水を飲み落ち着く紅蓮。

 眉間はまだ赤いままの祐二はボソリと呟く。

「もしかして……ロリコンなんじゃねぇの?」

「ブフーーーーッ!!」

 紅蓮の口から水が吹き出した。

 もう弁解の余地はナシ……なのだろうか。


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