『拍手小説』
ぱ5-4

「で? 何その『ももゆめを何とか……』ってのは」

「そうね。具体的に何を話し合えばいいの?」

 鍋に夢中になっていたメンバー。

 陸の一言でようやく集められた趣旨を思い出す。

「さぁ? 実は詳しいことは俺も聞かされていないんです」

 祐二の世話を焼くことに専念している貴俊が口を開く。

 何でこのメンバーが集められたのか首を傾げる。

「ん? 何だこれー」

 鍋に夢中になっていた祐二が声を上げる。

 そして箸を突き刺した焼き豆腐を差し出し皆がそれを覗き込む。

 【ももゆめに足りない萌は何か】

 豆腐に押してある焼印を読む。

「くらだらねぇ……こういうくだらねぇ事を思いつくのは一人しかいない。ってそういえば何で張本人がいねぇんだ?」

「pacoさんも色々忙しいのよ」

「はっ! アイツが忙しいわけあるかよ」

「……ねぇ、陸? 前から思ってたけど陸とpacoさんってすごく仲がいいよね? 何でも分かり合ってるって感じ」

 麻衣の言葉に陸は愕然として手から箸が落ちる。

「ま、麻衣!? 今すっげぇ怖ろしい想像してない? お、俺とpacoが……って止めてくれぇぇぇっ!」

 まるで怖ろしい物から逃げるように頭を抱える陸。

「なぁ、あの人何やってんだ?」

「あぁ、きっと大人には大人の都合が色々あるんだよ。祐二、白滝食べる?」

「ふーん。まぁいっか。白滝食う! あとネギ!」

 そんな大人の都合が何なのか分かろうともしない二人は仲良く鍋を食べ勧める。

 ブツブツと呟く陸の横で澄ました顔して白菜を食べる麻衣。

「あ、あの……月守君も何か食べる?」

 さっきからまったく手を付けていない紅蓮に心愛が声を掛ける。

 誰が話しかけても反応しなかった紅蓮が顔を上げた。

 また怒鳴られるんじゃないかと体を小さくする心愛。

「えのきと鶏団子……」

 四人が顔を上げた。

「しゃ、喋った!」

 四人の綺麗なハーモニー。

 ただ一人ホッとした顔をした心愛は嬉々としながら鍋に手を伸ばす。


―24―
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