君の隣

 声からも滲み出ている通り、本当に嬉しそうな貴俊の顔に祐二は毒気を抜かれた。

「でも、ダブルデートなんだろ?」

 クリスマスに男四人でテーマパークへ出掛ける、最初聞いた時は冗談じゃないと思っていた。

 でも祐二は内心とても楽しみにしていた。

 初めて行くということもあるけれど、その初めてに貴俊が一緒ということが何よりも嬉しい。

 小さい頃からずっと色んな初めてを二人で経験してきたからこそ、初めてことには貴俊が隣にいてくれることが何よりも重要だ。

「って……迎え何時だっけ? 顔洗って来ねぇと」

「待って」

「何だよ」

「ダブルデートだからさ、二人きりのうちにしておきたいな」

 祐二は「何を」とは聞けなかった、いや……聞くことが出来なかった。

 近づいて来る端正な貴俊の顔、それが意味することを祐二は一瞬迷ったが、どうやら魔法の呪文はまだ効いているらしい。

 薄暗い部屋の中で目を閉じると祐二の唇に少し冷たい唇が重なった。

 軽く重ねるだけのキスを繰り返し、互いの体温が身体の奥から上がってくると、二人はどちらからともなく唇を開く。

 静かな部屋に荒い息づかいと小さく響く濡れた音がしばらく流れた後、祐二は貴俊の胸を軽く叩いた。

「それ以上……すんな」

「あ……、そうだね」

 さすがの貴俊も困ったように笑って視線を落とした。

 朝の生理現象と言い切るには少々……いやかなり無理がある。

「どーすんだよ、バカ」

「迎えが来るまであと30分以上はあるし、車の中で変な気分になったら困るし」

「最後までやったら今日は一日喋らねぇ」

 先手とばかりに釘を刺す祐二に貴俊は頷きながらズボンに手を伸ばす。

「お互いに触るのはダメ? というか……俺が祐二に触りたい」

 貴俊は祐二の返事を待たず、ズボンの中から大きくなった祐二のソレを出すと、軽く握った手を動かし始めた。

「う……っん、お……前はどーすんだよ」

「俺は……」

「別に嫌とか言ってねーし」

 それはクリスマスの奇蹟と呼ぶべきだろうか、祐二が自ら貴俊のズボンへと手を掛けて、中に手を入れて貴俊と同じように手を動かす。

 再び薄暗い部屋の中には荒くなった息づかいと先程の濡れた音に加えて、速いリズムの粘り気のある濡れた音が響く。

「く……っ、朝から何やってんだよ、俺達」

 キスの合間に祐二がぼやくと、貴俊が息を乱して笑う。

「いいんだよ。クリスマス……っだし」

「いや……ダメッ、だろ」

 クリスマスはチキンを食べてプレゼントを貰う、そういう行事だと思っている祐二でさえも、クリスマスの朝にこれはどうかと思うのだが、そんな考えもすぐに掻き消える。

「貴俊、俺……っ、もう」

「んっ……俺、も」

 二人が同時に張り詰めていたものを吐き出す頃には、約束の時間まであと30分ほどになっていた。

end

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