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『君と桜 -オマケ-』
目が覚めて手探りで枕元の携帯に手を伸ばした。
もう昼の12時を過ぎている。
体を起こそうとすると激しい倦怠感が襲いそのまま寝返りを打つ事しか出来なかった。
(あぁ…腰がダルイ。)
腰だけじゃない、腕も足にもダルさを感じる。
だけどこんな倦怠感なら全然構わないむしろ大歓迎だ。
陸は隣で眠る麻衣の寝顔を見て満足そうに微笑んだ。
二人共寝たのは明け方だった。
何度昇りつめてもまたどちらからともなく求め合った。
意識が飛びそうになる麻衣を呼び戻しては激しく突き上げ声を上げさせ求めさせた。
まだ耳の奥には俺の名前を掠れた声で叫ぶ麻衣の声が残っている。
昨夜はかなり無理させちゃったからな、まだ寝かせててあげないと可愛そうだな。
捲れている布団を掛け直そうとすると麻衣が寝返りを打った。
明るい陽の光の下に何も身に着けていない麻衣の体が露わになると陸はギョッと目を見張った。
昨夜は夢中で全然気付かなかったけど…。
「怒るかなぁ…」
起こさないように静かに布団を捲くると確認するように麻衣の体を眺めた。
「怒るよなぁ…これは」
ため息が洩れる。
麻衣の白い肌には昨夜の名残りが散りばめられている。
胸元だけではなく背中も腕も足にも…付いていない場所を探す方が難しい。
昨夜の乱れた麻衣の姿が頭に浮かんだ。
アルコールのせいだった事は間違いないけれど自分から積極的に俺を求める姿は堪らなく可愛かった。
焦らす度に涙目でおねだりする姿に理性が飛びそうになった。
(ゴクッ…)
喉の奥に渇きを感じた。
手を伸ばして眠る麻衣の頬に触れ髪を撫でた。
「んっ…」
瞼がピクピクと震えた。
(どうしよう…すっげぇエッチしたい。)
寝てる麻衣にイタズラしちゃおうかな…それとも起こして寝惚けてる麻衣を襲っちゃおうかな。
ムラムラと湧き上がる性欲に体が反応する。
「ん…陸?」
目の覚めた麻衣がぼんやりとこっちを見ている。
「おーはよ。起こしちゃった?」
「んーん。おはよぉ」
寝起きの舌足らずな話し方が麻衣を幼く見せる。
やっぱりしちゃおうかなぁ〜。
「麻ー衣ちゃん」
抱き寄せてキスをしようと顔を近付けると手で押し返された。
やっぱりダメか…。
分かっていてもガックリとうな垂れる。
「ちょっと待って…トイレ…」
あれ?もしかして嫌がってない?
期待が膨らんで自然と顔が緩んだ。
起き上がろうとする麻衣の背中に手を添えて支えるとバスローブを渡した。
バスローブを羽織った麻衣がフラフラとした足取りで寝室を出て行く。
まだゴムあったっけ。
麻衣が出て行くとイソイソと引き出しを開けて取り出すと枕の下に挟み込んだ。
鼻歌でも飛び出しそうなほど上機嫌でベッドに寝転がった。
少しするとバタバタと大きな足音が近付いてくる。
麻衣もせっかちだなぁ…そんなに慌てなくても時間はたっぷりあるんだから。
バタンッと寝室のドアがすごい勢いで開いた。
「陸ッ!!」
寝室に飛び込んで来た麻衣の顔を見て陸は後ずさった。
「コレどうしてくれるの!!」
バスローブの前を開いて胸元を見せる。
もちろんそこには昨夜夢中で付けたキスマークの数々がくっきりと残っている。
あーもぅこれで当分エッチはおあずけだなぁ。
未練がましく枕へと視線をやり手を入れると指先にカサッと触れる。
オマエも当分出番ないかもな…。
「陸ッ!!聞いてるの??」
ベッドのすぐ横にまで来ていた麻衣が怖い顔で見下ろしている。
バツの悪そうな顔でソロソロと姿勢を正す。
それは俺だけのせいじゃないと思うけど…言ったらますます怒るよなぁ。
昨夜はあんなに可愛かったのに…。
口当たりのいい酒ほど後が怖いとはよく言ったものだ。
でもあんな麻衣が見られるなら何度でも怒られるよ。
また昨夜の麻衣の姿を思い出した陸の顔がニヤッと緩むのを麻衣は見逃さなかった。
麻衣の怒号が部屋に響いた。
end
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