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『初めてのおつかい』
数メートル先を時々振り返りながら麻衣が歩いている。
行き先はコンビニ。
俺が後をついてきてる事は承知の上で麻衣一人で買い物をするように言ってある。
コンビニに着いた麻衣は入り口で一度立ち止まると陸の姿を探すために振り返った。
だがまだ角を曲がったばかりの陸の姿は麻衣には見つけられない。
不安そうな顔で店へ入って行く。
ちょうどその時駐車場にのんびり歩く陸の姿が現れた。
店の中をウロウロと移動する麻衣の姿を見つけて頬が緩む。
陸は他人のフリをして店に入るとザッと店内を見渡した。
店員は2人でレジは男…高校生って感じかもう一人は商品補充中っと、客は立ち読み中の男が2人にカップルが一組。
そして挙動不審な麻衣と俺。
陸は麻衣を視界に入れながら店内を見るフリをして歩いた。
事の起こりは−
週末の昼下がり借りてきたDVDを見ていた二人だったが急にムラムラと欲情した陸がベッドに連れ込んだ。
まだ明るい部屋で裸の二人は抱き合っていた。
「もう挿れたい…ね?」
腰を高く上げた格好で後ろから愛撫されていた麻衣が顔を上げて振り向いた。
何度も絶頂を味わされて涙目なのがさらに男の欲望を駆り立てた。
「もーなにそのエロイ顔。めちゃくちゃにされたいの?」
陸は膝立ちになって麻衣の腰を引き寄せた。
「待って、今日は…つけて…」
「あ、そっか。ちょっと待って」
挿入直前で麻衣に声を掛けられて慌てて引き出しに手を伸ばす。
手探りで箱の中を探った。
「ん…?アレ?」
袋の感触が見つからなくて箱ごと持ち上げて中を覗き込んだ。
空っぽになっている。
クッ…こんな時に…でも予備がもう一箱あったはずだから。
陸は引き出しの中を見たがどこにも見当たらない。
「陸?どーしたの?」
「んーちょっと待ってー」
あーもぅ!せっかく盛り上がって麻衣がエロエロだったのに盛り下がっちゃうじゃんか。
舌打ちをしそうになりながら立ち上がった。
自分の財布の中に入れてあったはず…と指を入れたけれどある場所のそこには何もなかった。
最近外でする事ないから入れてねーんだっけ。
こういう日に限ってゴムが1個もないってどういう事だよー。
ガックリしながらベッドに戻った。
待たされた麻衣は腰を下ろして布団を引き上げてしまっている。
「ねぇ…麻ー衣ちゃん」
モゾモゾと布団の中へと潜り込んで麻衣の体を後ろから抱きしめて胸を愛撫する。
「ちゃんと外で出すから挿れちゃダメ?」
汗ばんでしっとりしているうなじにキスをしながらお願いをした。
昂ったモノを腰を揺らしながら尻に押し付ける。
「ね?もうこんなんだよ。俺我慢出来ないもん」
「今日はダメっ。」
「えーッ!俺どーすればいいのぉ」
「どーすればって…」
麻衣が体を起こして陸を見ると中途半端にお預けをくらってふくれっ面になっている。
「麻衣がしてくれる?」
上目遣いの陸のお願い攻撃に麻衣は目を泳がせる。
口でするのが恥ずかしい麻衣の事を知っていてワザと言っているのだ。
ニヤニヤと笑いながら返事を待っている。
「お口がダメなら…麻衣のおっぱいに挟んでペロペロしてくれるだけでもいーけどぉ?」
どっちもどっちだ…麻衣の顔がボッと赤くなる。
陸が引出しから取り出したローションを振って見せた。
「そ、それは布団汚れちゃうから…」
「じゃあお風呂ならいいの?ねっ…どーする?」
体を起こした陸が麻衣を抱き寄せた。
華奢な白い肩にキスをしながら髪を撫でた。
「早く決めないと挿れちゃうよ…。」
「…ゴム、ゴム買ってこればいーんじゃない?」
「ハァッ!?何それ…まさか今からとか言わないよね?」
声が裏返りそうになりながら麻衣の顔を覗きこむ。
追い込まれて困ってるのは分かってるけどいくら何でもそれはないじゃん。
ムッとしながら麻衣を目をジッと見ると気まずそうに目を逸らした。
「買って来てからまたする?」
「す、するよ?」
「うーそーだー!!ご飯の支度するからまた後でねー!とか言って誤魔化す気だろぉ」
ビックリしたように目を見開いている。
麻衣の考えてる事なんか簡単に想像つくっつーの。
「往生際が悪いよ。あんまりゴチャゴチャ言ってると犯すよ?」
仕事用の甘いセクシーボイスで麻衣を攻める。
「嘘じゃないよ?ほんとに帰ったらするからコンビニとかに売ってるでしょ?」
「イーヤーダー。帰って来たら服とか着て掃除して…」
押し問答をしていた陸がある事を思いついてニヤッと笑った。
「んーやっぱりゴム買って来た方がいいかもね」
「エッ?本当にいーの??」
「うん、麻衣のお願いだもん。だから麻衣買って来て」
急にあっさりと承諾した陸に驚きつつもホッとした顔をしている。
が、次の陸の言葉で動きが止まった。
「今、何て言った?」
「ん?ゴム来るまで待ってるから麻衣が買って来て?」
「エーーッ!なんで私が買うの?陸が買いに行ってよ」
絶対無理ッと首をブンブン横に振っている。
「いつも俺だもん。たまには麻衣が買って来てよ」
ベッドから降りた陸が財布を持って戻って来た。
お金を抜き取ると麻衣の手の平に押し付けてニッコリと笑った。
「コレと同じのを二箱ね?」
空になった1ダース入りの箱を麻衣の目の前に突き出した。
「や、やだッ」
手の平のお札を陸に突き返したが陸は受取ろうとせずそっぽを向いている。
「じゃぁ外出しか口かおっぱいのどれがいい?」
「むぅーー。意地悪」
陸の勝ちだった。
外出しはリスクが高すぎて絶対に選べないのを分かっている。
口も胸もした事はあるけれどこんな明るい部屋では絶対に恥ずかしくて最後まで出来るはずがない。
陸のずる賢い作戦に負けた麻衣は最後に残った選択肢を選ばされるハメになった。
「ほんとに行かなきゃダメ?」
玄関先で往生際悪く駄々をこねている。
「安心して俺が後ろからついてくからね。ゴム以外に買っちゃだめだよ。ゴム二箱だけね?」
楽しそうにVサインを作ってチョキチョキと動かしている。
諦めた麻衣が玄関のドアを開けて一歩踏み出して立ち止まった。
不安そうに振り返ると陸は手を振って送り出している。
「ハァーーーッ」
長いため息を吐いて歩き出した。
そしてコンビニ店内−
なんでゴム買うだけでそんなに恥ずかしかなぁ。
なかなか手に取れずモジモジする麻衣を見て笑いが込み上げる。
意味もなく菓子を選んだりしながら再び売り場に近付こうとしているのが分かる。
これじゃあ埒があかないな…。
他人のフリをしながらソッと麻衣の横を通り過ぎる時に小声で話しかけた。
「コソコソしてたら余計に怪しまれるよ」
麻衣の動きが一瞬止まったけれど気にせず通り過ぎて雑誌を手に取った。
怒りの視線を感じながら素知らぬ顔で立ち読みをする。
視界の端に麻衣の姿が入って来て周りに気付かれないように視線をやる。
覚悟を決めたのか思い切って手を伸ばして二箱一緒に掴んだのを見て陸は雑誌を元に戻した。
思っていたより楽しい結果になって陸はご機嫌だった。
先に出ていようと向きを変えると隣に立っていた男がジッ麻衣を見ているのに気が付いた。
麻衣はゴムを持ってコソコソとレジに向っている。
昼間だから大丈夫かなとは思ったけどやっぱり付いて来て正解だったな。
男の動きに注意しながら出口の方へ歩いた。
店の駐車場の端からレジに立つ麻衣の様子を見守っている。
顔を赤くして俯いている姿が堪らなく可愛い、レジが男だったら後ろに並ぼうとも思ったけれどいつの間にか女の子に変わっていた。
レジの女の子はチラチラと麻衣を見ているがきっと気付いてないだろうな。
終わったのか袋を持った麻衣が早足で店を出て来る。
店内に目を向けると男が雑誌コーナーから動いて出口に向かってるのが見えた。
店から出て来た麻衣は頬を膨らませて陸を睨みつけながら歩いてくる。
本当はマンションまで一人で帰るように言ってあったんだけど…やめておいた方がいいかもな。
陸はサングラスを外してポケットに押し込んだ。
「麻ー衣ちゃん、ご褒美にケーキ買ってあげるね」
近付いてきた麻衣に声を掛けて持っていた袋を受取った。
「もーぅ!こんな恥ずかしいのもうヤダッ」
予想通り怒っている麻衣の肩を抱き寄せながら付いて来ていた男を睨みつけて威嚇した。
慌てて車に乗り込んでいる。
「りーくっ!聞いてるの??」
「聞いてるよ。でもすっごい可愛かったからまた見たいなぁ」
「絶対にイヤッ!!」
「分かったよ。許して?麻衣の好きなケーキ何でも買ってあげるから」
「ケーキだけじゃダメッ」
「じゃあ夕飯外で食べよっか」
プリプリと怒ってる麻衣をニコニコとご機嫌の陸がなだめながら歩いた。
本当はこの後もっと恥ずかしい事をさせたかったんだけど…。
まだ口を尖らせている麻衣を見て無理そうだと諦める。
それはまた今度チャンスがあれば…。
陸は新たな野望に燃えていた。
end
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