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『オマケ』
甘い甘い夜から数日後…
「あー納得行かない!」
「しょうがないでしょ」
麻衣と陸は高級焼肉店の個室で肩を並べて座っている。
テーブルを挟んで向かい側には誠、美咲、悠斗が笑顔で座っている。
「今夜はお招きありがとうございます」
「別に好きで招いたわけじゃないですけどー」
「陸っ!えっと…今回も色々とご迷惑掛けてすみませんでした。」
不貞腐れる陸の横で麻衣が頭を下げた。
「今回ばかりはダメかと思ったけど仲直りしてくれて良かった」
「心配かけてごめんね」
この前の麻衣と陸の騒動に巻き込んでしまったお詫びにと麻衣がセッティングした。
陸はわざわざこんな高級店にしたのが気に入らないらしい。
「誠さんや美咲さんは分かるけど何でお前までちゃっかり座ってんだよ!」
「麻衣さんが声掛けてくれましたから」
悠斗が陸の問い掛けに平然と応えると麻衣の方を向いて何で呼んだの!と目で訴えかけた。
「悠斗くんにも心配かけてごめんね」
「いえいえ全然構わないですよ!俺はいつでも麻衣さんの味方ですから!」
「悠斗、てめっ!」
陸が勢いよく立ち上がったのを麻衣が服を掴んで無理矢理座らせると、ますます不貞腐れた顔をしてふんぞり返っている。
「それでは、麻衣さんと陸の仲直りを祝って乾杯!」
誠さんの音頭でビールで乾杯をすると早速運ばれて来た肉を焼き始めた。
さすが高級店だけあって肉の質が全然違うと全員で感動した。
機嫌の悪かった陸も肉が焼けて麻衣が皿に取ってくれると機嫌を直して美味しそうに食べている。
「麻衣、肉食べてる?」
「お肉ばっか食べたら太るでしょ?」
陸は麻衣の体を眺めてから次々と肉を麻衣の皿の上に乗せた。
「ちょっと!陸ー」
「ダメ!ちゃんと肉食べて、悠斗の分も食べていいから」
「陸さん、ひどいですって…」
悠斗はさっきから肉にありつけずに泣きそうになっている。
「せっかく痩せたのに…戻っちゃうじゃん」
この前の一件で体重が少し落ちたせいか全体的にすっきりして喜んでいたのに…。
「ガリガリの麻衣なんて抱きたくない」
陸の言葉に麻衣が赤面しているのを3人はニヤニヤしながら見ている。
「人前でそんな事言わないでよ」
小声で陸に怒ったのに陸は全く懲りた様子も見せず、今更隠す必要もないじゃんと開き直っている。
「痩せたせいで少し小さくなってんじゃん」
「は?何が?」
陸はニヤリと笑って麻衣の顔を見た。
「言ってもいいんだ?でも少し小さくなったおかげで俺の手にすっぽりと収まって…ふがっ」
途中まで聞いて何の事か分かると麻衣は慌てて陸の口を塞いで背中をバンバン叩いた。
「もう!信じられないっ!バカバカッ」
誠「はぁ…空調効いてんのか?熱いんですけど」
美「まだ全然食べてないのに胸やけがする…」
悠「ごちそうさまです」
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