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もしも、三兄弟が海軍になっていたら
ルフィ大佐、エース准将、サボ准将




正義とは、何か。
悪とは、何か。
立場や状況が変われば、そんなものいくらでもひっくり返る。
何が正しくて、何が間違っているのか。
それを判断するのは、いつだって自分自身だけなのだ。

「またお前か」
「私だって毎度毎度お世話になりたくないんですゥー」
「ったく、今月入ったばっかで既に三回目だぞ。このコソ泥」

そもそもあんたのような階級の人が、私の相手をすること自体間違ってるのよ。
そういう抗議はとうに流された。
お前は幼馴染なんだから、特別だ。
そう言って、いつも私の胸を締め付ける。
私にとって、あんた達がここにいることがどれだけの違和感か。

「ん?ラブとサボじゃねェか」
「お、なんだラブ!また捕まったのか!にししっうまいこと逃げればいいのになァ」
「ぷはは!相変わらず鬼ごっことかくれんぼは苦手なんだな!」
「うるっさいよ、大佐に准将が」

今日も海賊を何人捕まえただとか、最近巷で噂になってた海賊狩りがどこぞで捕らえられただとか。
三人の話が仕事の話になり、私は一気に疎外感を感じる。
昔は皆で悪ガキだったのに。
いつの間にか、悪と呼ばれるのは私一人になって。
三人はいつの間にか正義を背負うようになっていた。
ねえ、正義とは、悪とは何なの。
三人の笑顔は変わらないのに、変わっていないはずなのに。
私の目には切り取られた絵のようにしか映らない。

「ラブ、そろそろお前の悪事をちょろまかすのも限界みてーだ」
「何、磔にでもする?それともインペルダウンにでも放り込まれるのかしら」
「冗談はよせ」

三人から睨まれ、くっと唇を噛む。
何よ、私を置いて行ったくせに。
泣きそうになりながら、それでも睨み返せばルフィが前に出て、ドンッと机を叩いた。

「お前はおれのとこに来い、ラブ!」
「はあ?」

その瞬間、二人からルフィに落ちるゲンコツ。
お前はまたそうやって抜け駆けを、まず主語も何もねェだろ、うるせェ!

ほらまた、三人で始まるケンカ。
もういいわと思い、いつもの通り、カシャンと手錠を外せば集まる三人の視線。

「じゃ、私ももうこんなとこ来ないように気をつけるから、精々三人も生き延びてね」

私としては、ここでいつもの通り別れて。
そしてそのまま、永遠にサヨナラのつもりだった。
このまま力の差だけ開いていくのも、延々と繰り返す正義と悪の自問自答も、もうこりごりなのだ。
じゃ、と後ろの小窓から出ようとした時、伸びてきた腕、背後から燃える音、カチャ、と鉄パイプと床のぶつかる音。
くそう、戦闘態勢バッチリかよと冷や汗が伝う。
それでも口元には笑みを貼り付けて、目元は挑戦的に細めて振り返る。
案の定、三人は私一人の焦りなんてものともしていない、余裕の笑み。

「逃げんなよ、まだ話は終わってねェ」
「…私としてはもう話すこともないんだけど」
「おれ達があるんだっての」
「なまえ、海軍に入れよ」

あまり驚くことなくその言葉を聞いていた。
いずれは言われるかもしれないと、わかっていたからかもしれない。

「…ねぇ、私ね、実は一昨日悪魔の実を食べたの」

私の唐突な言葉に、三人の動きが止まった。

「じゃあラブは能力者か!?」
「何の能力だ!?」
「何でまたそんなモンを…」

口々に話し出して、私はニヤリと笑う。

「そうね、試しにエース。私に向かって思い切り火拳を使ってみてよ」
「何言って」
「それを私は止められるわ」

信じ難いような目を向けられても、私はただ笑うだけ。
痺れを切らしたように舌打ちして、それでも好奇心に負けたようで。
白の正義を靡かせて、熱く燃える炎が眼前に迫った。

ドォンーーー

建物を揺らす程の衝撃と、咄嗟に呼ばれる私の名前。
エースの火拳をひらりと躱し、大きく空いた外へと繋がる壁に大きく笑う。

「相変わらず単純なんだから!私がそんなもの食べるわけないじゃない!じゃあねん」
「あ、おい!ラブ!!」

君たちの背に正義がある。
君たちの掲げる正義がある。
なら、私は。
それを肯定する悪になろう。
私が悪である限り、君たちが正義である限り。
私達の結ばれた絆は永遠でしょう?
さあ今日も、君たちと真逆の黒を掲げて、私は笑いながら泣くのだ。




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ひとつの素敵イラストに妄想が先走りました、すいません。





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