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「#幼馴染」のBL小説を読む
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- ナノ -


「ねぇーサボ、テレビ、テレビつけて」
「そこにチャンネルあるだろ?」
「いーから」
「ったく…」


渋々ながらもサボがつけたテレビでは、日曜のワイドショーが流れている。
それをしばらくぼーっと眺めていたかと思えば、ソファーから突然むくりと起き上がった体にサボは目を向けた。


「…お腹、空いた」


成る程、テレビでは確かに話題のカフェでのランチが流れている。
だがしかし。


「さっき食ったばっかだろ?」
「もう消化されたよ」
「おま…燃費悪すぎ」


そう言いながら困った顔をしながら笑うサボの首元に腕を回し、うなじ辺りにぐりぐりと額を擦り付ける。


「おーなーかーすーいーたー」
「…仕方ねェな」


ふっと笑って頭をひと撫ですると、おもむろに立ち上がってキッチンに向かうサボ。
いつもそうだ。
なんだかんだで、いつも、私を甘やかしてくれる。


…ごめんね。


口には出さず、いつも思うだけ。
でもサボはいつも、まるでその声が聞こえてるかのように。


「あのカフェのより美味いもん作ってやるよ」


私に笑いかけてくれる。



「…これ…」
「……わり、やっぱ見よう見まねは難しい」


フライ返しを持った手を腕組みし、ムー、と難しい顔をするサボと。
ホットケーキミックスで作ったホットケーキ…らしきもの。
何でも器用に熟すように見えて、時々ある、こういった失敗。
でもサボはすぐに克服する。
隠れて何度も、何度も練習して。
そして次はきっと、ふわふわのホットケーキを焼いてくれる。
でも、こういう失敗をするサボが、たまらなく愛おしい。


「生クリームたっぷりにしたらわかんないよ」
「….そしたらただ甘ったるいだけになんねェ?」
「いいの、甘ったるくて」


それが、美味しいんだから。

にっこりと笑いながら、サボの唇に人差し指をふに、と押し付ける。


「ありがとサボ。食べよ?」
「…おー…」
「…ぶふっ、耳真っ赤ー!」
「なっ!くそ、ほら、食うんだろ!?」


更に赤くなって強引になるサボに、笑いが止まらない。
ああ、なんて幸せ。


「もう帰んのか?泊まってけばいいのに」


サボはいつも、別れ際にその言葉をくれる。


「ごめん、課題残ってるんだ」
「こっちに持ってくればいいだろ?」
「それじゃサボといちゃいちゃできない」
「何だそれ、どうせ隣の部屋なのに」


半日以上、サボの部屋で過ごすことだってある。
それでも私が首を縦に振らないのは。


「一回泊っちゃうと、もう絶対部屋に帰りたくならないよ」
「おれは…」
「ごめんね、私がまだだーめ。だから」


待っててね。
私がその部屋に住んで、サボに頼りっきりにならないようになるまで。


隣室長座



【隣】
〈リン〉となり。となりあう

【長座】
長時間いること。長居。ちょうざ。







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