(甘い涙にキス)
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「泣かないで」
そう言って、彼は私にキスをした。
優しくて、甘いキス。
「アレン・・・」
「うん・・・わかってるよ、名無し。でも、行かなきゃいけないんです」
見上げたら、困ったように笑う貴方。
ああ、また私、この人を困らせてるんだ。
行かなきゃいけないってことはわかってるのに・・・。
「すぐ戻ってくるんだよね?そんなに大変な任務じゃないんでしょ?」
「・・・大丈夫。必ず、名無しの所に帰ってきます。帰ってきたら、デートしましょう」
にっこり笑って、私の包帯だらけの右手を優しく握ってくれる。
この前の任務で怪我をした私は、アレンと一緒に行くことができない。
「・・・私、待ってるの嫌い。寂しいから。怖いから」
でも────
「我慢する。待ってる。だから絶対帰ってきてね」
「はい」
甘いキス。
彼の唇が、私の目元に溜まった涙に触れた。
「それじゃ、行ってきます」
「うん、行ってらっしゃい」
甘い涙にキス