大きな揺れで、ナマエは目を覚ました
記憶ははっきりしており、酔いも抜けている事も自覚して、周囲を確認する
と、自分がGに支えられて――と言うより、抱えられている事に気付いた

「……目が、覚めたか」
「え、あの、これはどういう」
「着地で衝撃が来るからな……起こすよりはと思ったのだ」
「あ、りがとう、ございます」

振動が収まると、Gはすぐにナマエを解放した
ひとつも表情が動かないあたり、本当に他意は無いんだろうとナマエは判断する
改めて辺りを見回すと、部屋にいたのはGとマーカーだけだった
もう二人はどこに行ったのか、尋ねていいのかどうかナマエは判断しかねて眉を寄せた

「此処はとある島だ、貴様が寝ている間に着陸した」

それを見兼ねたのか、マーカーが声をかける
ナマエがマーカーとGを交互に見ると、Gも頷いたので正しいのだろう
ナマエの中で、いつの間にかこの2人は信じられるというポジションにいる
当のナマエは気付いていないのだが

「着陸って語弊がありますよね?」
「……ああ」
「壊れなかっただけマシな方だがな」

三人が立って入るのは、本来なら壁のはずの位置
飛空挺が地面に突き刺さっているのだろうと、容易に想像が出来る
Gに抱えられていなかったらと思うとナマエは生きた心地がしなかった

「……私は、どうするべきでしょう」
「好きにしたらいい、この島に危険は無いはずだ」
「はあ……」

マーカーはそれだけを言うと、横にある扉だった穴から外に出てしまった
トントン、と軽い音が上へ向かったので外への扉はそちらにあるのだろう
ナマエはいよいよ困ってしまった
ガンマ団のような特殊な訓練を受けているならともかく、縦になった飛空挺を自由に移動できるはずもない
大人しく散らばったこの部屋にいるべきだろうか、悩みはじめてすぐに大きな手がナマエに差し出される
見上げるとGが表情を変えずに立っていて、ナマエは真意が分からず首を傾げる

「……外へ行くなら、手を貸そう」
「は、はい!」

元から何があるか分からない部屋が着地の衝撃で散らばっているのだから、こんな場所にいるなんて選択肢以外があるなら誰だってそうするだろう
ナマエが返事をすると、Gは背を向けてしゃがんだ
おぶされという事かな、と判断してナマエが首に腕を回すとGが立ち上がる
合っていたんだな、なんて思いながら扉を見る
外はどんな感じなんだろう、なんて考えているとGが歩きだした

「外に出るまでに、支えられなくなる事があるかもしれない……しっかり掴まっていてくれ」

ナマエは直ぐに掴まる力を強めて、それを確認したGは扉に足をかける
ちらりと下を見たナマエは息を呑む
落ちたら助からない、奈落ってこういう事かと更にGの服を掴む

「……目を閉じていても構わない」

Gの言葉に大人しく従い、ナマエはきつく目を閉じる事にした


[] | []
TOP



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -