「私はソニくんに風呂敷を返してから行くので、先に行っていてください」
届け物を包んでいた風呂敷を持って、ナマエとハーレム達は別れた
早く帰らなければリキッドが可哀相な目にあう気がしたナマエは、ソニくんへと風呂敷を返して直ぐにパプワハウスへと向かったのだが
「ええええ、何これ……」
目的地目前で、その足は止まってしまう
それというのも、玄関先にあるでかいこけし4体と獅子舞のせいである
こけしの妙な威圧感と、頭の部分にある丸い穴から覗く人の顔、しかもその目は全てナマエに向いていた
怖い、そんな思いから後退ると、足元の水溜まりを思い切り踏んづけてしまう
ナマエは気付かなかったが、それにより跳ねた水はこけしの横にあった獅子舞にかかる
「っぶは!」
「ひゃあああ!」
そうして唐突に聞こえた声にナマエは悲鳴を上げて、それにより家の中からリキッドが飛び出してくるが
「どうしましたナマエさん!」
「よーうりっちゃぁーん」
「ぎゃあ!!」
ナマエが怖がっていた獅子舞――ハーレムが声をかけるとリキッドは踵を返してしまった
こけしはガンマ団からの刺客で、パプワに負けてこうなったのだが、その場にいなかったナマエは何が起きたのか分からずに困惑するばかりだ
「おら、ナマエ」
「えっ、はっ?」
後ろから肩を叩かれ体を強ばらせたナマエが振り向くと、そこにいたのはハーレムだった
何故か汚れた服と消えた獅子舞に首を傾げても、ハーレムにはそれを説明する気は無いらしい
あの獅子舞は俺だ、なんて、そもそも彼のプライドが許さない
「飯が遅くなるだろ」
「ま、まあ、そうですけど」
押しても動きが鈍いナマエ、キョロキョロとこけしを見ているのをハーレムは首を傾げて眺めた
「……怖いのか?」
「だってこっち見てますよ!」
振り返ったナマエの必死な顔にハーレムは吹き出して、こけしに目を移す
確かに全員がナマエを見ていた
初めて見る顔だからか、女だからか……後者の可能性が高いか、と考えながらハーレムはニヤニヤと視線をナマエに戻す
「後で移動させりゃ良いだろ、お前が言うならガキも嫌とは言わねぇはずだ」
「そうならいいですけど……」
未だにびくびくしているナマエを見て、ハーレムはまた笑う
リキッドや特戦部隊の奴ら以外に、面白い奴を見つけたと思いながら
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