ご飯を炊いていなかったので、冷蔵庫のありあわせでナポリタンを作った
当然ながら初見のそれを、賈クさんはまじまじと見ている
一応、彼の前には箸とフォークを置いておいた

「これは?」
「パスタっていう……説明は難しいですね、とりあえず不味くは無いはずですし、どうぞ」

それだけ言って、先に私が食べる
これに関しては気遣いじゃない、お腹が空いていただけだ
彼は私の食べる様子を見て、フォークを手に取り見よう見真似で食べた
一口目だけは少しだけ恐る恐るという感じだったけれど、咀嚼すると少し目を見開いて、それ以降は何かを確認するようにしながらもどんどん口に運んでいた
味は気に入ったらしい
観察していて気付いたのだけど、思いの外フォークを使うのが上手くて驚く
吸収が早いといえば良いんだろうか、面倒が無くて良い
そして今になって気付く、テレビをつけていない
出来ればニュースと天気予報は見たい

「すいません、テレビつけますね」
「テレビ?」
「あの箱です」

そんなこんなで、凄く中途半端な説明をしてスイッチを入れる
テレビがつくと、賈クさんはぽかんと口を開けていた
驚き過ぎたらしい、なかなか可愛い

「これは、他の場所の風景や出来事、あとは物語なんかを見る事が出来る機械……えっと、からくりなんです」

説明しながらチャンネルを変えて、ニュース番組に合わせる
ちょうど天気予報をやっていた、明日は晴れるらしい

「これは凄い……明日の天気まで分かるのか」
「そうですね、確実ではないですけど」
「この技術を持って帰れたら色々と楽になるだろうな」
「確かにそうですけど、無理なのも確かですねえ」

目を輝かせてテレビに見入っている賈クさんは子どもの様で、なんとなく微笑ましい
新しい知識を得るのが楽しいのかも知れない、テレビの構造とか聞かれたら困るけど

「あ、そうだ」
「ん?」
「私明日も仕事で、帰りは多分7時くらい……分からないですよね」
「ああ、手間をかけるね」

棚に置いてあったアナログ時計を取ってテーブルに置く
二周で1日っていう事と、数字の読みを教えて、短い針が7になったくらいに帰ると言うことを伝えた

「なるべく早くは帰りますので、待っていてもらえますか?」
「流石に1人で外に出る気にはなれないからね、おとなしく名前の帰りを待っているさ」

私は頷いてナポリタンの残りを食べる
賈クさんも、私と同じくらいに食べ終えた
それを流しに片付けて、色々用意しなければなあと考える

「さて……ちょっと待っててくださいね」

一言告げて、私は寝室へと入る
幸い、服は元彼が置いて行ったものが入りそうで一安心
ほとんどの生活用品を置いていかれた時は処分する身になれと腹が立ったのだけれど、この状況になると礼を言いたいくらいだ
寝巻用のスウェットと、下着……人が着けてた物だけど、洗ってあるし我慢してもらおう
そして、最大の難関だと思われるお風呂
着替えとバスタオルを持って、リビングに戻る

「俺の着替えかい?」
「はい、それと入浴の説明をしますのでついてきてください」

着替えをまじまじと見ていた賈クさんは、私がそう言うと頷いた
上手く説明できて、上手く入ってくれれば良いんだけれど


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