そんな偶然はいらないなあ、前後からの声を聞きながら現実逃避をしたかったけれどそうもいかないと頭を振る
奉孝さんも私に合わせて止まってしまったし、相手が健二では家まで来る可能性さえ出てくる

「テメェ、前と男違うじゃねーか!」
「向こうは向こうで知り合いみたいですしぃ、私達は私達で行きましょうよぉ」

なんというか、似た者同士な組み合わせだと思う
健二、既に見限られてるけどいいのか

「私が誰と出かけようが関係ないし、アンタこそ女の子と一緒じゃない、むしろ彼女置いて何やってんの?」
「トイレだよ!」
「でかい声で言うな恥ずかしい」

しかしトイレ行ってる間に連れがナンパに走るとは、流石に可哀相ではある
握った手が揺れていると思って奉孝さんを見ると口元を抑えて震えていた
笑いを我慢しているようだ

「ココナ、お前も何やってんだよ!」
「なにがぁ?」
「はぁ!?」
「意味わかんないしぃ」

健二がココナさんの隣へと移動するも、会話になっていない
腕の震えが徐々に強くなっていく、奉孝さんの腹筋が崩壊する前に何とかしなくては

「じゃあお連れも来たようですし暇潰しも終わりですね、私達は失礼します」
「待てよ!」
「アンタ1人で帰んなさいよぉ」

健二に言われて待つ理由も無いし、私1人で帰ったとしてココナさんはどうするつもりなんだろうか
健二も顔はそこそこ良いし、イケメン2人連れてるアタシすげーとかしたいのか
まあ、どんな理由であれ留まる理由は無いのだ
再び奉孝さんの腕を引こうとすると、逆に彼に腕を引かれて再び肩を抱かれる形になった
しかも引っ張られたから、先程よりも近い

「声をかけてくれたのに悪いけれどね、私も彼女と離れる気は無いんだ」

不自然な程に綺麗な笑顔で言った奉孝さんに、ココナさんは溜め息を漏らす

「こうまで言えば、随分と愚鈍な君も分かってくれるね?」
「ぐ……どん?」
「ああ、意味が分からないかな……教えてはあげないけれど」

こんな状態で笑顔の時点で察しておけば追い打ちをかけられなかったかもしれないのに
いや、多分まだ馬鹿にされていると気付いていないんだろう
愚鈍の意味を考えはじめたココナさんから視線をずらした奉孝さんは、続いて健二に標準を合わせた

「君は名前のなんなんだい?」
「か「違う」

言うだろうと思った言葉を直ぐ様潰すと、奉孝さんが耐え切れずに吹き出したのだった


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