「私は大学生です、今年からですけど」

本当に甘寧さんと陵統さんを無視して、陸遜くんは自己紹介を始めた
詳しく聞くのが初めてだと改めて理解して、自分の事ながら軽率だなあと思った
犯罪者集団とかだったらどうするんだ私……一方的に知ってるとはいえ、少しは気を付けた方が良いかもしれない
……あれ、他の人達にも会う前提になってる?
そんな私の思考は、ゴッという痛そうな音が二回鳴った事で中断した
甘寧さんと陵統さんが呂蒙さんに殴られた様だ、頭を押さえてる

「静かになりましたね」

笑顔の陸遜くんは怖いけど、突っ込むのはもっと怖いから笑って流しておく

「他には特に……高校の頃は塾に行っていたのでバイトはしていませんでしたし」
「陸遜くん頭が良さそうだもんね、博識な感じがする」
「そ、そうですか?」


軍師だもんね、なんて言えない
ほんのり頬が赤い陸遜くんは照れ屋なんだろうか
イケメンの照れ顔美味しいです

「俺は逆に今も昔もバイトばっかだな、色々やったぜ」

そう続けたのは甘寧さん
らしいといえばらしいのかもしれない

「勉強出来ないからな、お前は」
「一夜漬けでなんとかなんだよ」
「それはそれで凄いですね」

3人とも同じ大学らしいし、もしかして受験も一夜漬けなんだろうか
陸遜くんとは別の意味で怖くて聞けない

「今度は俺の番かな?」
「気を付けろよ名前、コイツ手ェ早いから」
「えっ」
「よし興覇表出ろ」

もはや一連の流れになってきている、コントか
止めるべきか見守るべきか

「ほら、名字さんが続きを待っていますよ」

それは陸遜くんが止めてくれたことで、私がどうこうする必要が無くなった
手慣れてるなあ

「ああごめんね、名字さん」
「いえ、大丈夫ですよ」
「とはいえ、特別何をしてる訳じゃないんだよなあ」
「そうなんですか?」

さっき甘寧さんが言ったのはあながち間違いじゃないんでは、とか失礼な事を考えてしまっていたのだけれど
モテるだろうなあとはゲームの時から思っていたし

「今出来る事を楽しんでるって所かな、バイトもしてるよ」
「素敵な時間の使い方ですね」
「だろ?」

嬉しそうに、ふわっと笑うのは反則ですよ
顔が赤くなったりはしてないはずだけど、女の子はいちころだろうなあ

「じゃあ最後は子明さんですね」
「俺もか?」
「おっさんが名前を誘ったんだから当然だろ」
「……誤解を招く言い方はやめろ」

呂蒙さんはそう言われて、ほんのり頬が赤くなった
小娘相手にそんな照れなくても、と思いながらも照れ顔は美味しく頂いておきます

「俺は会社員だ、公積以上に何か特別言う事はないが」
「どこにお勤めか聞いてもいいですか?」
「孫呉生命という保険会社だ」

まんまか!と口に出さなかったのを誉めてほしい
聞いたこと無かったけれど、多分探したらあるんだろう

「CMはまだしてないないから、名字さんは知らないかもしれないな」
「はい、勉強不足でした」
「いや、元より小さい会社なのだ」

呂蒙さんはそう言うけど、俄然気になってしまう
今度調べてみようと頭のなかにメモをして、皆に頭を下げる

「我が儘に付き合って頂いてありがとうございました」
「それは此方の台詞ですよ、名字さん」

頭をあげると、陸遜くんがにっこりと擬音がつきそうなくらい綺麗な笑顔で此方を見ていた
よくわからない、という顔をしたのが分かったのか陸遜くんが口を開く

「私たちが誘ったんです、応じてくれた名字さんにお礼をするのは当たり前じゃないですか」
「そうでなくても可愛い女の子とご飯出来たんだしね」
「名前は普通じゃねえか?」
「……興覇、お前最低だな、知ってたけど」

再び始まった喧嘩に、呂蒙さんと陸遜くんが目をやってため息をつく
私は思わず笑ってしまって、4人の視線を集めてしまった
喧嘩していた2人までこっちを見たのに驚いたけど、何か言わなくてはとあわてて口を開く

「楽しいなと思って、大勢でご飯ってなかなか無いので」
「名字さんさえよければ、また来て下さい」

呂蒙さんが言って、陸遜くんが頷く
甘寧さんが、じゃあ俺もとか言ってるのが聞こえて、また笑ってしまう
複数人でいてこんなに楽しいのは久々な感じがして、なんだか嬉しかった

[] | []
TOP


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -