「お前が俺を好きって言うたら、俺はお前を好いちゃる」

教室で泣く女に、俺はそう言った

「簡単なのね」

涙を流しながらも苦笑いをして、女はそう言った
コイツは名字
クラスが同じで、大人びていて近付きがたいと言われておったはず

「振られたんじゃろ」
「えぇ……名字とは遊びで付き合えそうも無い、って」
「遊び前提とは、酷い話じゃ」

俺は机に座る名字の前に立って、指で涙を拭ってやる
そして、もう一度言った

「……俺は、お前を好きになってやれる」
「それこそ遊びじゃないの?
好きになる、確定要素なんてないわ」
「おーおー、恋愛にそんなの必要か?」

俺の言葉に、思わずだったのだろう
吹き出す様に名字はクスクス笑いだした
実は、コイツの笑顔を見たのはこれが初めてで

何時も通り、気紛れで言った告白だったのに
熱を帯びた俺の頬が何を意味するかなんて、分かっている

「じゃあ……私も貴方を好きになれるかしら?」
「違うのう、名字は俺を好きになるんじゃ」

夕暮れ時だったのが幸いしたのか、赤い顔には気付かれ無かった様で
俺は相手の目から未だ零れる涙を、唇で拭ってやり
そのまま相手の唇に重ねる

「……しょっぱい」
「恋の味、ってことでどうじゃ?」

俺の言葉に目を丸くして
でも直ぐに笑いだした名字


そりゃ、最初はからかうつもりだった
別にそこまで知ってる相手じゃ無かったし

だけど、今は違う
こんな風に思うのは初めてだ


なぁ、お前さんは何時気付く?

とっくに俺が本気だって事に

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