家のベッドに横になると、すぐに眠気が襲ってきた
疲れたんだろうと、ぼんやりした頭で考える
あれだけ泣いたのは、いつ以来だったろう
考えるのも
面倒になって
きた
何か、鳴っている
シンプルな呼び出し音
電話だ、けれど
寝るのを邪魔しないで欲しい
ベッド脇に置いていた携帯を手に取ると、案の定兄さんからだった
出ないという選択肢も、あるんだけれど
「…………もしもし」
『あれ、寝てた?』
なんとなく、それはそれで嫌だった
私が避ける理由とか、無いじゃないか
どのくらい時間がたったのか分からないけど、少し頭がはっきりしてるみたいだ
「寝てた、今何時?」
『今は夜の11時30分だよ』
「なんで、そんな時間に電話するのよ」
『え、今日会ってないからだけど?』
どんな理由だ
言わずに溜め息をつく
兄さんは、そういう人だ
『いや、あのね、』
「兄さんは、そういう人なのよね」
「……名前、大丈夫かい?」
泣いていたのが馬鹿みたいだ
なんでも良いんじゃないか、悩む必要なんて無い
兄さんも義父さんも、マニィだって、いつだって私を心配してくれるのは嘘じゃないはずだもの
「大丈夫よ、ありがとう」
『うん、なにかあったらすぐに言いなよ?』
「わかってる」
過保護なのは、私が一番よく分かっているんだから
兄さんは、私が可哀相だから兄さんでいるわけじゃない
義父さんだって、きっとそう
「……明日、顔見せるわね」
それでも、そう伝えるのには勇気がいる
「うん、楽しみにしてるよ」
「じゃあ、おやすみ」
「おやすみ」
電話を切って、息を吐く
暗い気持ちは無くなったけれど、まだ少し不安だ
知った以上、前と同じではいられない
でも、聞かずにはいられないし
関係が悪くなる事は、絶対に無いはずなんだ
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