肩にもたれかかり眠る 狡噛は執行官になってから、眠れない日が続いていた。 そんな時征陸は頭を撫で、眠るまで傍にいる。 まるで子供だ。親をなくして心の行き場をなくしている子供の哀れな姿。 「とっつぁん」 「ん?」 毛布を体にかぶり、征陸の肩口に頭を預ける狡噛の表情は窺えない。 「面倒じゃないのか」 「面倒?」 「いつも」 「ああ」 そんな事か、と征陸は笑った。優しい時間を抱ける幸せはあるが、苦痛だとは思わない。 「コウ。お前さんはもっと甘えてよいんだ」 「甘える?」 「まだ泣けてないんだろう」 狡噛は無言になった。そうはいうものの、泣いたら後は崩れるだけである事を知る征陸は緩く口元を緩める。 「今はそれでいいが、せめて自分を追い込まないでくれよ」 「とっつぁん…」 「頼むから…」 その言葉に狡噛が小さくうなずき、次の言葉を待っていると、頭にふんわりとした感触が戻る。 「?」 静かに顔を向けると、そこには征陸の寝姿。規則的な寝息を繰り返す征陸に、今度は狡噛が笑う番だった。 ここの所毎日のように狡噛が寝付くまで見ていてくれたのだから、仕方ない。 「とっつぁん、お休み」 米神にキスをして、狡噛も目を瞑る。 今日は久しぶりに良い夢が見れそうだった。 2013.2.7 |