ストロー


「これを飲むのか?」
「とっつぁんが飲みたいって言ったんだぜ」
「いや、そうだが」
「あんたが若者のデートを知りたいと言ったんだ」
「…やれやれ。コウ、そっちを貸せ」
「ちょ、がっつくなよ」

都心のど真ん中。
周りの注目を浴びながら二つのストローで一つのジュースを飲み始めた二人に、たまたま通りかかった監視官二人が呆然と立ち尽くす。

「…あの、宜野座さん」
「何も言うな。何も見るな」
「はぁ…」

呆ける朱を置いて宜野座が先ほどより早く歩を進める。

「ったく…穢れてる!」



2013.2.1



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