君の名は。(おやま様より/3225/annimal)


「恭哉、イイコにしてたか」
「…うるさいよ。咬み殺されたいの」

久しぶりの逢瀬だというのに、つれない態度の恋人はチラリとディーノを一瞥してそっぽを向いてしまった。

「悪い悪い、そう怒んなよ」
「僕も暇じゃないんだ。入ってこないでよ」

他の人間ならば、その冷たい眼差しと彼に纏う怒気が恐ろしくて逃げてしまうだろう。
それくらい近寄りがたい雰囲気が身体中から溢れ出していたのだが、ディーノはそんな雲雀の態度を物ともせず広い和室に大股で上がり込み、会えなかった時間を埋めるようにキツく愛しい恋人を抱き締めた。

「貴方って本当に僕の話を聞かないよね」
「そういうなって。これでも恭哉に会いたくて急いできたんだぜ?…逢いたかった、恭哉」

全くもってこの男は立て板に水、暖簾に腕押しだと雲雀は思う。
会話のキャッチボールが成り立っていない。ディーノに話をしても基本的にムダなのだ。心の底から鬱陶しいし腹立たしい。

――なのに、雲雀はいつもこの腕を振り払うことはしない。

それは、彼自身もこの厚かましい男に飢えている証拠でもあるのだが。

「キュ?キュキュー!」
「ディーノ!ハネウマ!」

背後から可愛らしい声が聞こえて、ディーノは雲雀から離れない程度にその腕を解いた。

「お、元気にしてたかヒバード、ロール」

「キュキュー」
「ロール、チガウ、ハネウマ」

どうやらロールは自分を呼んでくれているらしいと、ディーノは柔らかく微笑んだ。なにか間違っているようでヒバードに注意されている。

「キュー?キュキューキュ」
「チガウ、チガウ、ハネウマ」
「キュ、キューキュ!」
「チガウ、チガウ」

…一体なにが違うんだ?
何度もダメ出しを受けるロールが段々可哀想に思えてくる。
ロールの言葉がわからないディーノにとっては、何を聞いても「キュ」にしか聞こえないから間違おうが正しかろうが同じことなのだが。

「キュ、キュ、キューー!」
「チガウ、チガウ」
「ヒバード。もういいよ。それもあながち間違いじゃないから、ロールにはそう呼ばせておけばいい」
「…え?ロールのやつ、俺のことなんて言ってるんだよ」

口の端を上げて意味深な笑みを向けてくる雲雀は「お茶でも入れようか」と席を立ってしまった。

結局ロールがディーノをなんと呼んでいるか教えてもらえず、恐らくあまりいい意味ではないだろうと考えながらせっかくの貴重な休暇にモヤモヤした気持ちを引きずる羽目になったディーノだった。



さら☆まだのおやま様より、頂きました!
色気のある3225!!3225!!と冒頭から大興奮していたのですが(恭さんがすごい包容力あってクールビューティーが液晶から滲み出てまして!それを甘やかすディーノさんがかっこよくてかっこよくて!)続けて出てきた小動物に全部持っていかれました。

かわいいいいいいいい!!!
もう喋るだけで可愛いです、ぎゅぎゅとしたくなります><///
二匹の台詞だけを何回読んだか分かりませんvvv
特にロールたんのキュキュ?がすごく可愛くってディーノさんを恨めしく思ったほどです(笑)
そんな小動物と必死に会話しようとするボスが可愛くて、冷ややかに見る恭さんも恭さんらしくて素敵でした(´▽`)
個人的にはディーノさんがなんて呼ばれていたか気になりますが…ロールたんの事だから可愛い呼び方ではないのかなと思います(妄想)。
色気があってそれでいてとっても可愛く、最後のオチに笑ってしまうお話をありがとうございました!!

2012.04.14



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