こもりうた


「ミードーリ♪」

「キュウ…」

「タナービークー」

「…zzzzzz」

「ネタ、ネタ!」

ヒバードが歌い終わると、籠で拵えた簡易ベッドの中ではりねずみは気持ち良さそうに寝息を立て始めた。
籠に足をかけ上から見下ろすヒバードは、はりねずみが動くたびにずれ落ちるタオルを器用に嘴で丁寧にかけなおしてやる。

そんな微笑ましい光景は全てこの部屋の主が仕込んだもの。雲雀は静かに茶を飲みながら、目の前で凝視している男にちらりと視線をやった。

「なに?」

「いやー、10年経てば鳥も芸を覚えるんだなーって感心してた」

「何いってるの。ただの鳥じゃない。あの子が、えらいんだよ」

「ハイハイ。だけどさ、そろそろ限界じゃね?」

「なにが」

「可愛いって言っても限度があるだろ!これで何匹目だよ!」

ディーノが指差した先に広がるのは、小さなはりねずみがずらりと寝ている姿。元はロールが1匹じゃ寂しいだろうからと遊び相手を飼いはじめたのがきっかけ。それが小さな赤ん坊のはりねずみの愛らしさに目を奪われた雲雀が次々と増やした。それらの多くは、キャバッローネ構成員に引き取られてゆく。

「うちのやつらももういらねぇって言ってんぞ」

「だらしないね、こんなに可愛いのに」

雲雀が眉根を寄せたのと同時に、子守をしていたヒバードも飽きたように小さくあくびを漏らしたのだった。


2012.4.4


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