甘えん坊 「キュウ」 「なに?ついてくるの?」 雲雀がいつものように見回りをしようと応接室を出ようとした頃。 いつもはヒバードと一緒に昼寝をしているロールが一鳴きしてから、必死に雲雀の方へ走ってくる。 「クピクピ」 頷くロールに、雲雀は滅多に見せない笑みを浮かべた。 「仕方ないね…。今日だけだよ」 「クピ!」 抱き上げ制服の胸元へ忍び込ませると、はりねずみは安心したのか、はたまたお腹がいっぱいになったのか、次第に寝息を立て始めた。 普段から甘えん坊の気質があるロールだが、今日は特にひどかった。 それもそのはず。 今日の戦いにおいて、ふと遭遇した犬の親子。きっとまだ子供のロールには、甘えたい存在が欲しいのだろう。 たとえ匣兵器でも親を慕う気持ちは変わらない。 それが自分で補えるなら、と雲雀は今日だけは多めに見る事にした。 2012.4.2 |