ディーノとちくわ(純様/25雲雀+針)


大好きな雲雀さんに、最近大切な人ができた。
名前は、「でぃーの」とか「はねうま」とか言うらしい。

けど、僕はディーノが好きじゃない。だって…

「ロール、おいで」
「クピクピ!」

雲雀さんのお仕事が終わると、いつも僕を呼び遊んでくれる。遊んでくれるというより、撫でたり針を研いでくれたり――些細なことだけど、この時間が一番嬉しい。

けれど。

「恭弥、邪魔するぜ」
「何しに来たの、跳ね馬」
「ご挨拶だな。せっかく匣兵器の情報持ってきてやったのに」
「見せて」

こうなると雲雀さんの神経は、ディーノに映って僕に断ってから離れていく。

「キュウ…」
「ロール、悪いな。ちょっとだけ恭弥を借りるぜ」

ディーノがそういうと、二人揃って出て行ったしまった。
だから、ディーノは嫌い。雲雀さんを独り占めするから。

「キュキュ…」

することながなくて寝てしまおうと思ったら、クサカベが近づいてきた。
手にしているのは…

「ロール、ちくわだ」

「キュッ♪」

滅多に口にすることのない、好物のちくわだった。
喜んで齧りつくと、いつもの味と食感とはまた違っていて美味しい。

「ディーノさんからの土産だ。うまいか?」
「!」

ディーノの名前が出て、僕は顔をあげた。

「日本に行ったときに買ってきたらしいが…あの人も忙しいからな。味わって食うんだぞ」
「キュウー」

クサカベの言葉に、僕は目の前のちくわをじいっと見る。
ディーノが持ってきたちくわ。僕のために買ってきてくれたちくわ。

今度は少しずつ味わって食べると、より美味しく感じられた。

(ディーノは、嫌い)

雲雀さんを独り占めするから。

(でも、)

今度会ったら少しだけは貸してあげても良いかなと思う。
だって、雲雀さんがあんな風に無防備な顔を見せるのは僕達以外に初めてだし、悪い人ではないと思う。

もちろん好きじゃないけど、嫌いでもないかな。

そう思いながら僕はまたちくわに夢中になっていた。


→リク内容:「ディーノに嫉妬するロール」

2012.05.05



「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -