あいことば 「クピイイイ…」 「ダメだよ、教えただろ?」 「キュ!」 「違うよ、ロール。君、お手本見せてあげて」 「ミードーリタナービク♪」 隣にいたヒバードが歌って見せると、雲雀は満足そうににやりと笑む。 「ほら、ロールも」 「クピピ…」 「できるまでちくわはおあずけだよ」 「キュウウウゥ…」 そんなロールの情けない声が応接室に響いた頃。 一部始終を見ていたディーノは、草壁に声をかけた。 「草壁、あれはなんだ…?」 「合言葉を教えているんです。ですが、なかなか…」 「はりねずみって喋るのか?」 「喋らない…とは思いますが」 「だよな。ロールもかわいそうに」 だが、草壁もディーノも雲雀を止めようというつもりはこれっぽっちもない。自分に火の粉がふりかかるのはごめんだ。 そうして根気良く雲雀がロールに校歌を覚えようとさせている隣で、ヒバードが気持ち良さそうにそれを囀っていた。 2012.4.1 |