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「幸せにくらしました。まる。」

ぱたん、と雲雀が絵本を閉じると、ロールと小次郎が目をきらきらさせて、最後のページを前足と嘴でつつく。

「なに?このページがどうしたの」

そこには燦然と輝く豪華な料理と飲み物の挿絵が載っていた。絵本の最後を締めくくるパーティーの様子だ。

「パーティーをしたいの?」
「タンジョービ!」

言葉を代弁するようにヒバードが囀る。

「誕生日?」

誰の、と思考を巡らし「あ」と気付く。自分の誕生日とさほど変わらない4月24日。山本武の誕生日だ。
ボンゴレではファミリーのBDを盛大に執り行うのが決まりになっていて、山本も例外ではなく祝ってもらっているのは知っている。雲雀は参加したことはないが、ヒバードいわくとても豪勢だという。
何度か紛れ込んだことのある小次郎やロールも知っている事だ。

「今年もボンゴレが盛大にパーティをするよ。君たちはそれに出たら良い」

すると、一匹と一羽は揃って頭を振った。

「ヒバリトイッショ、オイワイ」
「…しないよ、僕は」

すると、今まで大人しくしていた次郎までもが「わふ!」とねだってきた。

「したって、山本も来ないよ」

皆の顔を見渡しながら言うと、また頭を振られた。
どうあっても雲雀が頷くまで退かないらしい。

「山本が来る補償はないからね」

折れた雲雀に、小動物たちは嬉しそうに鳴いたのだった。





「飾りつけはロール」
「キュ!」
「料理は僕とヒバード」
「リョーリ!」
「プレゼントは次郎と小次郎」
「ピー!」
「わふ!」

雲雀がそれぞれに指示を飛ばすと、小動物たちは散らばり山本の誕生日パーティーを決行すべく、準備に取り掛かり始めた。
やると決めたからには徹底してやるのが雲雀である。料理の本を手にキッチンを占領すると、『お寿司』のページを開く。山本の好みなど知らないが、実家は寿司屋だったのだからきっと大好物のはずだ。大体の手順は跳ね馬に電話をして、事細かに聞いたから抜かりはない。

「オスシ、オスシ!」
「ヒバード、洗剤を持ってきて。お米を洗うよ」
「センザイ♪」

「跳ね馬が高級な洗剤ほど美味しく炊けるって言ってたよ」

それがどんな惨状を招くか知らずに、雲雀とヒバードは大量の高級洗剤でお米を洗い始めた。







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テーマ「人外ファンタジー」
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