2215ver




「あけまして」
「アケマシテ」
「キュ」
「おめでとう」
「オメデト」
「クピ」

1月1日。雲雀は目の前の小動物二匹を見比べると、不適な笑みを浮かべた。

「うん、完璧だよ」

ヒバードには真っ赤なリボンに、小さなポシェット。ロールには花飾りを満遍なく散らし、同じく体にフィットしたリュック。

「良いかい、僕の言ったように跳ね馬を見つけてできるだけ媚をうるんだよ」
「ピ!」
「クピ」
「台詞は覚えてるね」
「カネクレ」
「キュ」

よし、完璧だ。後はキャバッローネ邸に二匹を放てば自然と鞄の中がお年玉で溢れるだろう。
そのことを考えると、笑いが止まらない雲雀だった。


それから数分後。
戻ってきたヒバードとロールの姿を見た雲雀は、目を丸くした。
二匹が抱えている鞄は今にもはちきれそうにあふれている。

「わお、すごいね」
「タダイマ、タダイマ」
「キュウ」

二匹から鞄を預かると、それを早速草壁に託し、擦り寄ってくるヒバードとロールを撫でてやる。

「えらかったね。今年は大豊だよ」
「ガンバッタ」
「クピ」

ヒバードとロールも満面の笑みを浮かべた頃、慌しい声が近づいてくる。
予想どうりの展開だ。

「恭弥!」
「やあ、跳ね馬。どうしたの、そんな顔して」
「お前な…。俺からはともかく、ファミリーの連中にまでたかるなよ。少ないって言ってロールに突かれたやつもいるんだぞ」
「へぇ。ロール、えらいね」
「キュウ!」
「ちげぇ!そこは褒めるとこじゃねーっての!」
「じゃあ、何?この子達が無理やり奪ったとでも言うの」
「限度があるだろ、限度が!」
「情けないね。お詫びにあなたにおせち料理でも振舞ってあげようかと思ったんだけど」
「え?」
「いらないなら仕方ないね。この子達で食べるよ。ね?」
「クピ!」
「ピ♪」

その言葉に折れたのはディーノだった。

「ずりーぞ!俺も食う」
「いるの?」
「当たり前だろ」
「じゃあ来年もいっぱいくれる?」
「ああ、任せとけ!」
「じゃあ、大人しく待ってるんだね」

言いながら雲雀が部屋を出て行くと、小動物もそれに倣い後に続く。
すると傍らにいたロマーリオのため息が聞こえてきた。

「良いのか、ボス」
「あ?」
「あんな小僧に振り回されて」
「良いんだよ。理由はなんだって、アイツが興味を示してるんだ。何とかしてやりたいって思うじゃねーか」
「…なるほど」

それは一理ある。
不器用すぎる子供に、2人の大人は暖かい眼差しを送ったのだった。

*Buon anno !*



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