キミと僕のないしょ話番外編(ツナヒバ) 「ヒバリさん…?」 「う、ん…」 綱吉が声をかけると、隣で眠る雲雀がほんの少し身動ぎをした。目を覚ましているときは凛々しく強さを誇る双眸も今は緩やかに閉じられ、その面影はない。 気持ち良さそうに寝息を繰り返すおでこにキスをして、綱吉は上着を羽織ると起こさないようにそっと寝室を出た。 すると、その後をパタパタと小さな小鳥が追ってきた。 「ピイ」 「ヒバード、起きてたの」 指先を差し出すと、ヒバードはちょこんと降り立つ。 「ヒバリ、ネテル」 「うん。今日は色々あったし、疲れたんだろうね。ヒバードもお疲れ様」 「オツカレ、オツカレ!」 「10年前はヒバリさんが傍にいてくれるなんて思いもしなかった。まして…」 誕生日パーティーにも来てくれるなんて。 「草壁さんやヒバードやロールがヒバリさんに毎日少しずつ愛情を与えてくれてたんだろうね」 「ヒバリ、ダイスキ!」 「うん。ヒバード、ありがとう。ずっとヒバリさんの傍にいてくれて」 賢い小鳥は綱吉の言葉が分るのか嬉しそうに囀り始め、寝室へ戻っていった。 ヒバードだけではない。雲雀の傍にいてくれた全ての人やものに、感謝をしたい。あたたかく、優しく、雲雀の頑なだった心を溶かしていってくれた愛情が確かにあったから、今日という日がある。決して綱吉だけの力ではなく、みんなの力。 とても素敵な仲間に囲まれて、それはきっと奇跡のような宝物。 「ヒバリ」 「起きてるよ」 ヒバードが寝室に戻ると、雲雀は上半身を起こした。 「本当に…君にまで感謝を言うなんて相変わらずだね」 呆れたように息を吐くと、足元でもぞもぞと小さな物体が這い上がってくる。 「ガゥッ」 「おいで」 ナッツを抱きかかえてやると、雲雀はじーっと小さなライオンの子を見やった。 「ガゥ?」 「君にも礼を言うべきなのかな?」 ヒバードやみんなが自分の周りにいたように。 ナッツも常に綱吉をサポートしてきた。それは匣アニマルとして普遍のものだが、絶対ではない。ナッツだからこそ、綱吉もここまで成長を遂げることができたはず。 雲雀は口元を緩めると、想いを込めて同じ言葉を唇に載せた。 「ボスの傍にいてくれて、ありがとう」 願わくば、これからも同じ暖かさに守られて、大空のように羽ばたけます様に。 どこまでも続く、果てなく広がる空へ。 2013.05.03→2013.05.16 |