ヒバリさん、だいすき(ヒバード) 未来から戻った雲雀が連れて帰った、1匹のはりねずみ。 名前はロール。 可愛い顔とは裏腹に身体を針で覆う姿は一瞬躊躇うほどの攻撃力を持つ。 だが、それは主である雲雀が命じた時のみ。 いつもは愛くるしい眼差しを湛えながら雲雀の傍を離れない。 「キュウ!(ヒバリさん、ヒバリさん)」 「ロール、静かにして。これから本読むから」 「キュウウ…」 ヒバリに冷たくされたロールは、今度はヒバードに目を向けた。 「ヒバード、さん!」 「ヒバード、ヒバード!」 「ヒバード!」 「ピイ」 そんな二匹の会話に、傍で聞いていた草壁が雲雀に声をかける。 「あの、委員長…。良いんでしょうか?」 「どうして?」 「なんだか、ケンカしていませんか」 傍から見ると鳥の鳴き声とはりねずみの鳴き声は人間には判別できず、言い争っているようにも見える。 「大丈夫だよ。――おいで」 雲雀が一声かけると。 「ヒバリ、ヒバリ」 「クピイ!(ヒバリさん!)」 指先には小鳥が止まり、羽織っている学ランの裾にははりねずみが必死によじ登っている姿。 そんな小動物さえも虜にする委員長の姿に、草壁は苦笑いを浮かべながら明日からははりねずみの餌も用意しておかないと、とラックから本を取り出したのだった。 2012.2.9 |