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「…で、情勢は?」
「大体読めたね。リボーンが怪しい」
「そんな事は分かっている。風は?」
「コロネロと一緒だよ」

不穏な空気が漂う中、静かな作戦会議が行われているのは体育館倉庫。
もちろんヴェルデと、同じく部費を欲しているオカルト研究部のマーモンである。
利害が一致したという事で手を組んだ二人だが、一向にその作戦は進んでいない。要するにまとまらないのだ。
マーモンは直接リボーンを仕留めたい。ヴェルデは出来れば自分の手は下したくない。
そして、間で震えているのはすっかり小さくなっているパシリのスカルだ。

「おいっ、てめーら!いい加減なんとかしやがれ!もう1時間以上経ってるんだからな!」

うるさく喚くも、ヴェルデにじろりと睨まれれば一瞬にしてマーモンの後ろに隠れてしまう。

「ひいい!」
「分かったよ、今回はヴェルデの作戦に乗ってあげるよ。その代わり、分け前は半分だからね」
「いいだろう。とりあえず、『探すもの』はリボーンに間違いない」
「どうしてそんな事が言えるんだい?」
マーモンが口を尖らせれば、ヴェルではにやりと笑む。
「分かりきったことだ。リボーンがこんな時に風の元を離れているからな」

昔から、そうだった。ヴェルデが風にちょっかいを出せばいつもリボーンが邪魔をしにきた。
だから、標的が風から離れれば良い――そう踏んだリボーンの選択は間違っていない。
ただ、見誤ったのはヴェルデの優先順位。
ヴェルデにとって部費などは二の次だった。あのリボーンに一泡吹かせたい。その延長線上で部費が手にはいるなら願ってもないことだが、それだけの事。

「しかし、どうやって風を抑え込む気だい?実力行使では適わないんだろ」

風はああ見えてアルコバレーノの中で一番肉術戦を得意としている。本気でやりあっても、返り討ちに遭うだろう。

「作戦は練ってある。風の大事なものが隣の中学校にあってね。それを利用する」
「やれやれ。じゃあ、作戦は任せるよ」

そのために。
ヴェルデの眼差しが暗闇の中で光り、間で大人しくしていたスカルへ移る。

「しっかり働いてもらおうか」
「え?え?」

争奪戦が始まってから、1時間後の事だった。

2012.2.7




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テーマ「人外ファンタジー」
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