4 「…で、情勢は?」 「大体読めたね。リボーンが怪しい」 「そんな事は分かっている。風は?」 「コロネロと一緒だよ」 不穏な空気が漂う中、静かな作戦会議が行われているのは体育館倉庫。 もちろんヴェルデと、同じく部費を欲しているオカルト研究部のマーモンである。 利害が一致したという事で手を組んだ二人だが、一向にその作戦は進んでいない。要するにまとまらないのだ。 マーモンは直接リボーンを仕留めたい。ヴェルデは出来れば自分の手は下したくない。 そして、間で震えているのはすっかり小さくなっているパシリのスカルだ。 「おいっ、てめーら!いい加減なんとかしやがれ!もう1時間以上経ってるんだからな!」 うるさく喚くも、ヴェルデにじろりと睨まれれば一瞬にしてマーモンの後ろに隠れてしまう。 「ひいい!」 「分かったよ、今回はヴェルデの作戦に乗ってあげるよ。その代わり、分け前は半分だからね」 「いいだろう。とりあえず、『探すもの』はリボーンに間違いない」 「どうしてそんな事が言えるんだい?」 マーモンが口を尖らせれば、ヴェルではにやりと笑む。 「分かりきったことだ。リボーンがこんな時に風の元を離れているからな」 昔から、そうだった。ヴェルデが風にちょっかいを出せばいつもリボーンが邪魔をしにきた。 だから、標的が風から離れれば良い――そう踏んだリボーンの選択は間違っていない。 ただ、見誤ったのはヴェルデの優先順位。 ヴェルデにとって部費などは二の次だった。あのリボーンに一泡吹かせたい。その延長線上で部費が手にはいるなら願ってもないことだが、それだけの事。 「しかし、どうやって風を抑え込む気だい?実力行使では適わないんだろ」 風はああ見えてアルコバレーノの中で一番肉術戦を得意としている。本気でやりあっても、返り討ちに遭うだろう。 「作戦は練ってある。風の大事なものが隣の中学校にあってね。それを利用する」 「やれやれ。じゃあ、作戦は任せるよ」 そのために。 ヴェルデの眼差しが暗闇の中で光り、間で大人しくしていたスカルへ移る。 「しっかり働いてもらおうか」 「え?え?」 争奪戦が始まってから、1時間後の事だった。 2012.2.7 |