11/25 おかわり自由(2215/animal/365)


「ぴ」

雲雀が風呂に入っている間、ディーノは暇つぶしに手元にあったチョコ菓子を小鳥に、クッキーをはりねずみに与えていた。
差し出すたびに嬉しそうに喰らい付く1羽と1匹に自然と頬も緩む。

「お前ら、本当に何でも食べるんだなー。てか、太らないのか…」

うまいか?と尋ねれば「ピィ」「キュー!」と返事を返してくれるあたり、とても雲雀のペットには思えない。
ディーノ自身、特別小動物が好きというわけではないが、これが雲雀の可愛がっているペットかと思うとその愛しさも倍増になるから不思議だ。

手元のチョコがなくなって、小鳥がディーノの指先を突いてくる。

「イテ、こら、もうねーっての」

もっととせがんでくる眼差しに負けて、辺りを見回すがもう菓子類はなくなってしまった。
ロールも最後のクッキーをつついている。

「オカワリ」

「キュー」

そんな言葉をどこで覚えたのか知らないが、ディーノはその愛くるしい眼差しに負けて仕方なく腰を上げる。

「わーったって。ちょっと待ってな。恭弥に聞いてくっから」

ほぼ同時にバスルームから音が聞こえてきたから、丁度出てきたのかもしれない。
ディーノは気にせずにバスルームを除くと、派手な水音と共に全身ずぶぬれになってしまった。

「変態」

もちろん水をかけたのは、雲雀だ。まだ服を着てない状態で手には空になった洗面器をしっかりと抱えている。

「言っとくけど、覗きじゃねーぞ」

「じゃあ、何」

胡散臭い視線を向けられて、小さな援軍を期待して振り返るが、ヒバードもロールもおなか一杯になったのか気持ち良さそうに寝ている。

(くそ、あいつら…)

「お代わり」

「は?」

まだ濡れている身体をディーノは手元にあったバスタオルで包み込み、無防備になっている米神にキスをする。

先ほどまでこの手に抱いていた身体はそれだけでぴくん、と反応するが、すぐに手が出るのも分かっていたから、咄嗟にそれを封じ込めることも忘れない。

「あいつらがさお代わり欲しいって言うからもっと菓子類ないかと思って」

「それなら棚に…っていうか、離して」

「やだ。俺もお代わりが欲しい」

「あ、あんなにしたくせに」

言葉で攻めると、段々と体が熱くなっていくのが分かる。
こういう所はまだ子供で、いつもの虚勢はどこへやら呆気なくその殻が崩壊していく様はこれ以上にないくらい官能的だった。

「俺は恭弥ならどれだけでも食える」

「うるさい」

なおも抵抗する雲雀を片手で抱き上げようとした時だった。

「あ」

雲雀の声に振り返れば、足元にいるのは1匹と1羽の無垢な眼差しがよっつ。

「…」

「…」

ただじーっとディーノを見つめるそれに、ディーノは身動きが取れずにいたが、しばらくしてから諦めたように、雲雀をそっと床に下ろした。

あんな穢れない眼差しを向けられれば、無体な真似など出来るはずもない。

「オカワリ」

「キュ」

寝てたんじゃねーのかよ、と心の中で悪態を付き雲雀を窺えば、呆れたような顔を向けられた。

そんな顔も可愛いなぁと思いながら、1羽と1匹にせがまれてまた給仕をするディーノだった。


2011.11.25


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