11/22 落ち葉踏み(3225+15/animal/365)


ぱし、ぱし。

小さな小鳥が音を立てて踏むと、それは呆気なく幾枚にも散った。
その様がおかしくて、15歳の雲雀は夢中になる。

「ヒバリ、ヒバリ」

丸いお尻を振りながら歩くヒバードに、雲雀は「可愛いよ」と言いながら肩に乗っていたエンツィオを下ろしてやると、エンツィオがヒバードの後に続いた。


そんな可愛い姿を背後から見ていたディーノの目尻は下がりっぱなしだ。

「可愛いよな」

「気持ち悪い」

「えっ、可愛くねえ?」

ヒバードもエンツィオも10年前の雲雀も。

「可愛いに決まってるけど、あなたは気持ち悪い」

「何でだよ」

「あの子を見る目がいやらしい」

あの子――15歳の雲雀が10年バズーカーの故障でここに来たのは、もう半年前。

もちろん雲雀は自分を引き取り一緒に暮らしているが、今まで互いの仕事を尊重してきたディーノが、まるで自分の子供に会いに来るかのように頻繁に雲雀の元を訪れるようになった。
そして遠くから様子を見る様は果てしなく気持ちが悪い。

「いいだろ。明日には帰っちまうんだ」

「寂しい?」

ディーノの言うとおり、ジャンニーニが修理を終え、雲雀は明日には元の世界へ戻る。
元の世界では5分しか時間が経ってないというから、大騒ぎにはなってないだろう。

雲雀が問うと、ディーノは「そりゃあ」と言いながら、それでも着物の袖からしなやかに延びている雲雀の手に自分のそれを絡める。

いつもは接触を嫌がる雲雀も、珍しく手を振り解かなかった。
知らない間に馴染んでいた空間がなくなる事に、寂しさを覚えたのかもしれない。

「恭弥がいれば、それで充分」

「……」

返ってこない言葉を不思議に思い隣を盗み見れば頬がはんなりと紅く染まっていた。
雲雀もまた、当てられたのだろうか。
あの子が帰るまで、あと少し。

繋がれた手に力を込めて、後少しだけ得ることのできない暖かな家族に酔いしれてみよう。

ただ、このひと時に想うだけなら。


そう強く願った。


2011.11.22


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