「ん」
「へっ?」
ぶっきらぼうに差し出された手に驚く。
「な、何、兄さん?」
「何じゃねーよ。ほら」
兄さんは戸惑う僕の手を強引にとった。
その手はさっきまで遊んでいたせいか少し汚れていて、きれいなままだった僕の手をちょっと汚した。
「あーあ、帰ったら母さんに叱られるかな」
「兄さんはやんちゃしすぎだよ」
引いてくれる手はとても優しくて。
ヤダなぁなんて頭をかきながら言う兄さんの向こうには、夕日がすごくおっきく見えた。
夕暮れに手を繋ぐ
(とってもとっても大きくて、僕には眩しすぎたんだ)
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