「う…兄さんのばか!」
「なんだよ!オレだけのせいじゃないだろ!」
「最初に行こうって言ったのは兄さんじゃないかっ」
「付いて来たのはヒューバートだろ!?」

 ラントの裏山付近の林のなか。そこの地面に不自然にぽっかりと空いた穴から、幼い兄弟の争い合う声が聞こえてくる。

「どうすんのさ…こんなとこ、大人でも気付かないよ」
「…よしっ。ヒューバート、ここに四つんばいになれ」
「え…なんで…」
「いいからいいから!」
「…もしかして、僕を踏み台にするつもり?」
「ギクッ」
「ひ、ひどいや兄さん!どうせこの高さじゃ足りないよ」
「じゃあどうしろっていうんだよ!」
「知らないよ!」

 涙目だった青色は、ここで完全に崩壊してしまった。
 焦ったのは兄のアスベル。

「な、泣くなヒューバート!男だろ!?」
「う…ひぐっ…、兄さんだって、泣いてる、っく、じゃんか…!」
「な、泣いてないっ!」

 そうは言うものの、アスベルの瞳ももうほぼ水分で覆われてしまっている。
 兄としての意地と、口では言っているものの弟を巻き込んで連れてきてしまったという責任感が、アスベルの涙をギリギリのところでせき止めているのだ。

「………、……!」

「…あれ、なんか、聞こえないか?」
「……っえ?」

 耳をすませると、大人の男の声がする。

 それは段々と近づき、空を見上げていた兄弟の視界に黒い影を落とした。

「アスベル!ヒューバート!」
「父さん!」
「親父!」

 それは二人にとって安堵を与えるには十分な存在。

「お前たち…待っていろ!」








 無事に助け出されたアスベルとヒューバート。
 外に出された二人はすぐに来るであろう怒声に身構えたが、降ってきたのは力強い手。

「……大丈夫か?」

 頭に乗せられた手のひらと、かけられた言葉に、堪えきれなかった。

「う…おやじ…おれ、ごめ…さ、い…!」

 いつも毛嫌いしていた父親に、今はみっともなく抱き付いた。





 今でも二人の兄弟が覚えているのは、馬鹿息子共が、という優しい声と、頼もしい背中の温もりだった。








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アストン様に夢見てる^q^

『5RTされたら、「大切な人に」「おんぶされて」「涙目になりながら」、「バカ」と言うアスヒュを書(描)きます』

というのをついったーでやったので、衝動で書きました。
お題がちりばめられてますね、すみません



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