今日の部活はナシ。
顧問が出張だとかなんとか。
部屋でゴロゴロしているときヒューバートが帰ってきた。
部屋に入ったのを雰囲気で確認すると、そのまま突撃した。
「ヒューバート!」
「うわぁ!な、なんですか」
扉を開けた目の前には着替え途中のヒューバート。つまり制服がはだけている。
「…………」
「…兄さんどこを見てるんですか」
「ヒューバートのはだけたブレザーと白シャツの具合」
「なんですかそれっ」
さっと制服を正してしまった。くそう。
「それで、どうしましたか」
「あ、うん。今朝の」
「今朝…あぁ。質問があると言っていましたね」
ネクタイを直しつつ横目でこっちを見ているヒューバートは、無意識に流し目になってることを知らない。
「なにを聞きたいんですか?」
「これだ」
「これって…」
指差す先は、ヒューバートが手をかけている制服のネクタイ。
「ネクタイですか?」
「そう、ネクタイ!」
「………」
どうしようもない、とでも言いたそうな目である。
「ネクタイがどうかしたんですか?」
「わざわざ制服だからといって毎日着けなくてもいいと思うんだ。それが無いからといって乱れるわけじゃない。逆にかなり緩めてる奴だっているだろう」
「ネクタイがなければ襟元が乱れます。それに、その事を僕に言ったところで変わりませんよ。僕は校則に従っているまでです」
「じゃあヒューバート、もっといい活用法はないか」
「話が飛んでます。意味が分かりませんよ」
「10数える間に言えなかったら俺が見つけた方法を試すからな!いーち…」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
完璧にペースに乗せられてるヒューバートを見るのはとても楽しい。
なんだかんだ俺には弱いから、結局折れてくれるところもまた。
「9、10!さてヒューバート」
「う…」
「俺が思い付いたのはな」
ヒューバートの襟からするりとネクタイを抜き取り、そのまま手を後ろ手に回し縛る。
「ちょ、なん…んっ」
反論を口で封じ、ベッドへ突き飛ばす。
不安定な状態から押されたから、頭から突っ込んでしまった。
「うぷっ。…なにするんですか兄さん!」
「ここまでくれば頭のいいヒューバートは、何したいか…分かるよな?」
シーツに埋もれながら見上げていた顔が、さっと青ざめた。
「は?うそ、ですよね…?」
「そう思うか?あ、なんならもう一本あるし、ヒューバートのあられもない所にくくりつけてやろう」
「やめてください!」
ヒューバートの体に乗り上げて服に手をかけるとガンガン容赦なく蹴られた。
「痛いいたいヒューバート!ふぐぉうっ!!」
主に足に食らっていた攻撃が、思いきり急所にヒットした。
いきなりの衝撃にうずくまって痛みの波に耐えていると、足元に違和感を感じた。
「…ヒューバート?」
見るとそこにはいつの間にか縄抜け、いや、ネクタイ抜けしたヒューバートが、俺の両足を括っているとこだった。
「ヒューバートなにを…はっ!そういうプレイか、なるほど攻めが縛られるというのもなかなか…」
「違います黙れ変態!」
あれよあれよというまに両腕まで縛られた俺は、そのままベッドに転がされた。
「あの…ヒューバート、さん?」
「そこでジッとしてなさい。反省するまで。さようなら」
その後、この状態で土下座をするまで一言も口をきいてはくれなかった。
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下剋上よりはマシよね^∀^
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