ゆっくり休んでくださいね



「美奈子。大丈夫、疲れた?」


あれから、五時間後。
お風呂にも入り、晩御飯も食べた後。
自分の部屋に入ろうとした僕は、調子の悪そうな美奈子を見かねて訪ねてきたのだが。


「…おなか痛い…」


「そりゃ、あれだけの量食べればそうなるよね」


原因は食べ過ぎによる腹痛。


「あー…ぎゅうってなってるー…」


「とりあえず、横になって」


ベッドに横たわせ、タオルケットをかけてやる。
今日は、夜も暑い。このぐらいでちょうどいいだろう。


「はしゃぎすぎた…」


「あ。やっぱりはしゃいでたんだ」


「だって…あんな話できる友達。あんまりいないんだもん」


美奈子はタオルケットをいじりながら、唇をとがらせた。


「今度はちゃんと僕の言うこと聞いてよ?」


「うん…」


ぽんぽんと頭をなでて、部屋を出るべく立ち上がると、くんっと服が引っ張られた。


小さく笑って、僕はまたベッドに腰を落とす。


「風邪でもないのに、今日は珍しいね」


甘えてくるなんて
そう言って美奈子を見下ろすとー…


「すー…すー…」


「寝てる…」


服の裾を見ると、美奈子の手がしっかりと握られていた。


その表情はとても楽しげで、可愛らしく唇の端が上がっている。


「無防備…」


いけない事とは分かっているが、もっと触れたくなる。


髪をなでて、頬をすべる。
柔らかい唇を軽く押すと、少し反応を見せる彼女。


魅力的な唇に惹きつけられて、自然と距離が縮まる。


「ん…」


一時停止。約三センチの隙間。


無邪気に瞼をこすって、寝返りを打つ美奈子。


やっぱり、やめておこう。


はぁと苦笑いをして、起き上がる。


「こういうのは、お互いの意志があったときにしたい…よね。美奈子だって」


「んー…」


返事みたいに言うから、思わず笑いがもれた。


変わりに額におやすみのキスを落とし、部屋を出た。


良い夢が見れますように。

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