言葉の続きは、ナニイロ



『私の…大切な…大切な…っ』


「…」


『大好きよ…!』


「きゃぁぁぁぁぁっ」


「吉野さん?」


「はっ」


現実に帰った私は、その場に硬直。
授業中だったのすっかり忘れてた…
先生、顔が怖いです。


「吉野さん…保健室行きますか?」


「だ…大丈夫です」


安藤が心配げな視線をよこす。
大丈夫だと笑って返した。きっと苦笑いになっていたと思う…


「…それじゃあ、ここの問題。吉野さん。解いてください」


「あっ。はい」


それから休み時間。


「美奈子。さっきの、何だったんだ?」


みかんジュースのストローを噛みながら安藤が言う。


「さっきのって…」


『大好きよ…!』


「きゃぁぁぁぁぁっ」


危うくイチゴミルクの紙パックを潰しそうになった。
慌てて手を離し、さっきから異常をきたしているほっぺたに触れてみる…と


熱い。尋常じゃないくらいに顔が熱い!


「なに…これ」


「それは、こっちが聞きたい」


「私、変かな」


「言うまでもなく」


即答!…全然優しくない…


「うー…」


「唸るなって。大丈夫。まだ頭イかれてるとは限らないだろ」


「安藤、意地悪だよ」


「…」


不機嫌なときこそ、イチゴミルクを飲む。甘くて美味しい私のエンジン。


「ぷは。美味しい」


「美奈子」


「なぁに〜」


機嫌は、すっかり直りました。
立ち直りが早いのが取り柄です。


「カイトの事、好き?」


「好きだよ?そりゃあ、もちろん」


弟だもん!
突然だなぁなんて思いながらそう言うと、ため息をつく安藤。


「なによ〜」


「そういう意味じゃ…いや、何でもない」


「安藤…調子悪い?」


いつも、ずけずけ言う安藤が遠慮するなんて、変。絶対、変。


「ちょっ!触んな」


「え〜熱計るだけだよ」


おでこぐらい、なんだというのか。


「…お前、そういうのカイトにもやってんのか?」


「カイト君にも?」


もちろん。
言葉は続かなかった。


なぜ。
本当に勿論なのかな?


「たぶん…」


私、なんではっきり言えないのかな?


だって、頭の中で


カイト君の熱を計る、シチュエーションを想像してみたら。


《おでこぐらい》


じゃあ、なかったから。

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