「おはよ〜名前」

「っ…おっ、おはようございます…神威さんっ!」


鼻先に迫る傘を手で押えながら、あたしは最悪な寝覚めを迎えた。
だって起きたら神威さんに馬乗りにされてて、


「なんでっ…いっつも攻撃してくんですか!!」


思いっ切り傘を振り下ろされたんだから。神威さんはニコニコと微笑んで言う。


「だって、名前強いんだもん」


だもんじゃねーよ!!
ここ最近、この真選組に現れるようになった神威さん。初対面のときからいきなり襲いかかってきたのを覚えてる。しかも初対面のはずなのにあたしの名前を知っていて、最初に言った言葉は、


『一発ヤろ』


こんの乙女の敵がぁああ!!ってわけであたしは神威さんを殴った。
そっから毎日のようにあたしの前に現れる。

神威さんは笑顔のまま傘に更なる力をかけた。あたしは必死に耐える。


「…っ、勝負ならこの前ついたでしょ!!」


だんだん腕が疲れてきて、傘がどんどん迫ってきた。


「だって俺負けたもん」

「負けたらもう襲ってこないって約束だったでしょ!!」

「負けたまんまなんて嫌だよ、夜兎は強さを求める種族なんだ」


マジ勘弁してほしい。それに、


「神威さん確か春雨の団長でしょ?」

「よく知ってるね」

「ここ真選組ですよ、ヤバいんじゃないかなぁー」


この人にとっては敵地のど真ん中のはず。


「大丈夫大丈夫」


何この余裕!!?
笑顔でものっそい力だから怖い。いい加減殺られると思い、渾身の力を振り絞る。


「うおりゃぁああ!!」


神威さんは後方に吹っ飛ばされた。
あたしの力を舐めんなよ!!


「やっぱり名前は強いなぁー」


吹っ飛ばされたにも関わらず、笑顔で嬉しそうにしている。してやったりなはずだったのに、なんか悔しい…。

なんだコイツ…実はMなのか…


「ああ、早く名前をぐっちゃぐちゃにしてやりたい…」


ひぇえええ…!!
違う違うSだSだった!!もう何この人!勘弁してくれよ!あんたを相手にすんのは疲れるんだよ…しかもこんな朝っぱらから非常識だろが!!


「名前ー何朝から騒いでんでィ」


そこに現れたのは、


「隊長!沖田隊長いいトコロに!!!」


あたしの隊長様で、神の救いかと思った。今まで神様とかあんま信じてなかったけど今日から信じることにしよう。

沖田隊長はあたしと神威さををやる気ない目で交互に見たあと、


「まぁ静かにやんなせェ」


そう言って去ろうとした。


「ちょっえっ、ぇええええ!!?」


沖田隊長は眉間に皺を寄せてこっちを見る。


「静かにやれって言ったばっかだろィ、名前は馬鹿なのかィ?」


いや馬鹿お前!!なに当たり前みたいに去ろうとしてんの!!おかしいでしょ明らかに!!
あたしは目を見開いて抗議に乗り出す。


「だって沖田隊長侵入者ですよ!!」

「…」

「しかも!春雨ですよ宇宙海賊春雨!!!隊長捕まえるべきじゃないんですか!!?」

「…めんど」


オイイイイイイ!!とんでもない呟き聞こえちゃったよ!!この税金泥棒が!!!ダメだもう神様信じてあーげない!!!


「すきありー!!」

「ひゃあっ!!」


愕然としていれば神威さんが飛び掛かってくる。それを腕で防いで押しとどめた。あたしは去ろうとする沖田隊長に叫ぶ。


「けっ、沖田隊長なんかあたしが本気になったらイチコロだわ!!今までどんだけ助けてあげたと思ってんですか!!この恩知らずが!!!」


すると沖田隊長は笑顔でバックしてきて、


「いい度胸だねィ」


刀を抜いた。
良かった、ようやく助ける気になってくれたかと思えば、


「死ね名前!!」

「はっ!!?」


あたしに刀を振り下ろす。


シャキンッ!!


神威さんを再び突き飛ばして、あたしは上に跳んでかわした。


「隊長何してくれちゃってんですかー!!?」

「名前を殺ろうと思いやして」

「部下になんちゅーこと!!」

「てめぇこそ上司にどーゆー態度とってんでィ!」


いやいやそうだけど、あたしより沖田隊長の方が悪くね?だって部下を見捨てようとしたんだよ!?しかも今殺そうとしてるし。
沖田隊長は素敵スマイルで言い放つ。


「男との関係の始末くらい自分でつけなせェ」

「はぁ?」

「俺を巻込むんじゃねーよ」

「沖田隊長何か勘違いしてます!!神威さんはそんなんじゃなくて、」

「言い訳ですかィ?マジムカつく」

「人の話を聞けー!!」

「覚悟しなせェ!!」


第二撃がくると思い身構えると、


「ちょっと邪魔はしないでくれる?」


ニコニコした神威さんがあたしと沖田隊長の間に滑り込んで、


バシッ!!


沖田隊長を吹っ飛ばした。
おい…ちょっとどうしたらいいコレ。
神威さんは倒れている沖田隊長に言う。


「名前を殺るのは俺だよ、それからヤるのもね」


とんでもない発言しちゃったなぁオイ…。デリカシーないっつーか…ね。

吹っ飛ばされた沖田隊長は血を吐き出しながら立ち上がった。そしてこっちを睨んで言う。


「悪いですがねィ、そこは譲れやせん…今決めやした、名前は俺が殺る」


…どうせなら色恋沙汰でこういう展開が良かったよ。なに?どっちが殺るかだなんて…あたし悲しくなってきたわ…。

神威さんがニコニコと言う。


「沖田隊長くんだっけ?」

「沖田総悟でさァ」

「まず君から殺しとこうか」

「臨むところだねィ」

「名前に手出されちゃ困るからさ」


え…、ちょ…え?
ヤバくない?


二人が睨み合い始める。火の粉でも飛んできそうな眼力だ。しかも二人ともそれなりにイケメンだから様になる。映画のワンシーンのようでゾクリと鳥肌がたった。

でも、ちょうどいいや。この隙に土方さんとこ行こう。そんで助けてもらおう…とあたしは考える。でも、


「神威さんでしたっけ?」

「そうだよ」

「殺り合う前に提案が」

「なに?」

「とりあえず名前を捕まえときやせんか?」


は?


「どーして?」

「逃げられたりしたら後々面倒ですからねィ…誰か呼んでくるかもですぜィ」

「それもそーだね」


ちょ…うん、さすが沖田隊長、あたしのこと分かってる。


「だからここはとりあえず」

「協同戦線といこっか」


「ぇえええええ!!!」









ダブルスマイル

Sな二人の素敵スマイルが輝いた











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凛様へ
神威より強い真選組ヒロインで、神威→ヒロインの甘ギャグというリクエストでした…。
すみませんんん!!!
リクに沿えてないのは重々承知でございます(T_T)
力不足で、本当にごめんなさい!!!

なんか沖田隊長出しちゃったしね…。どっちの夢か分かんねぇよ!!!
あっでも、沖田さんと神威がタッグ組んだら無敵だと思いませんか?いつか出会ってほしい二人(殴)

凛様苦情はいくらでも受け付けますんで…!!
ぜひ罵って下さいませ〜;

リクありがとうございました!!

20090309白椿