今日は4月1日。
そう!エイプリルフール!!
嘘ついてもいい日なんだ。
だからさ、


「神威団長!大好きです!!愛してます!」


って、これはちょっと本気なんだけど、ウソだよ〜んって感じで告白出来ちゃったりするわけで、


「そう、俺は名前のこと大っ嫌いだけどね」


こんな返事が返ってきたとき、あたしは硬直してしまった。


「…え?」

「俺は名前が嫌いだよ」

「…」

「弱いしドジだし、見ててイライラする」


がーん…
なにコレ、なにこの予想外な展開…。
エイプリルフールだからって浮かれるんじゃなかった…
なんか、いきなり失恋したゃったぞオイ…

…ん?
待てよ、エイプリルフール?

そっか!今日はエイプリルフールじゃないか!!ってことはもしかして、


「団長」

「なに?」

「もしかして、団長もエイプリルフールにバリバリノッてる感じですか?」


ちょっと期待を込めて訊いてみた。


「エイプリルフール?なにそれ?美味しいの?」


あたしの期待は見事に崩れさった。
団長、エイプリルフールは食べ物じゃありませんよ…


「いや、知らないならいいです…」


あたしはかなり落ち込んだ。
そして悲しいヤツが目からはみ出しそうになった。
いいさ、付き合えるなんて思ってなかったよ。片思いで良かったんだ…。
だけど大っ嫌いなんて言われたらさ…ショックでしょ。
ちくしょーエイプリルフールの馬鹿ヤロー!!


「他に用ないなら俺行くよ」

「…」

「彼女と約束あるんだ」

「か、彼女!?」

「うん」

「団長彼女いたんですか…」

「当たり前でしょ」


ま、まぁ当たり前か…
ダブルショックだぜ…


「俺さ」

「…」

「名前みたいに愛してるってはしゃぐ女は苦手なんだ」


あたしの心に鋭い矢が一本。


「弱いトコロも、すぐ泣くトコロも、すぐ転ぶトコロも、すぐ殺されそうになるトコロも、ぜーんぶウザッたい」


なんか本気で泣けてきそう…
そこまで言わなくてもいいじゃないか…
団長S降臨…

あたしは俯いて、泣かないように下唇を噛んだ。


「だからさ、もう俺の周りうろつかないでね」


あたしはショックで頷くしか出来ない。


「じゃあね」


団長は背を向けて歩き出した。あたしも団長に背を向ける。ゆっくり歩き出したら、涙が一筋流れた。

あーあ…あたしもっと強ければなぁ…こんな酷い失恋しなかったのに…
団長の彼女はやっぱり強いのかなぁ…

また一筋涙が流れる。
思わぬ失恋。思わぬ事実。
あたしは溜め息。

エイプリルフール、ホント浮かれるんじゃなかった…。
マジでキツいよ。

落ち込みMAXでうなだれた時、


「名前」


背後すぐ近くで声がした。
ビックリして振り返るとニコニコした神威団長がいて、


「あ、泣いちゃってる」


嬉しそうに言った。
ちょっとムカついて、ゴシゴシと袖で涙を拭う。


「なんか用ですか?早く彼女さんの所行ってあげて下さい!」


神威団長はケタケタ笑って言った。


「あれ、全部ウソだよ」


あたしは口をポカンと開けた。
団長は愉快そうにニコニコして言う。


「ではでは、名前に問題です」


団長は人差し指をピンと立てて、可愛らしい首を傾げた。


「俺はいったいいつからウソをついていたでしょーか?」


あたしは黙った。
団長をジッと見る。


「…なんでウソを?」

「だってエイプリルフールでしょ?」

「え、だってさっき知らないって」

「演技演技、それくらい知ってるって」

「…」


なんか、悔しい…。
団長演技上手すぎじゃね?
なんでも出来ちゃうんだねこの人は…。


「…」


あたしが押し黙っていると、団長はあたしに一歩近付いて、あたしの顎をクイッと持ち上げて視線を絡ませた。


「名前がいけないんだよ」

「…はい?」

「エイプリルフールに告白なんてするから」

「…」

「それってつまり、俺のこと嫌いなわけ?」

「…」


あたしは目をパチパチ。


「でさっきの問題なんだけどさ、」


あたしは首を傾げる。


「俺はいつからウソついてたと思う?」
















一番最初から

まったく、君の泣き顔は俺の栄養源だよ











--------------------
シュリ様へ
企画参加ありがとうございました!!
エイプリルフールネタをとのことで、こんなSな団長が出来上がりました(笑)
もちろん神威→←ヒロインって設定ですがいかがでしょう?
ちょっと最初の団長酷いですけど、あれも愛故にです♪

文句は拍手かbbsにどうぞ(^^)

20090301白椿