｢名前姉、名前姉ー!!｣

｢どうしたの神楽｣

｢この子見つけたアルー!!｣


神楽は嬉しそうに真っ白な子猫を差し出した。


｢わぁ可愛いねー｣


小さい声でミャアミャアと鳴く子猫はとても可愛らしくて、母性本能をくすぐられる。それと同時に嬉しそうに微笑む神楽も可愛いと思って、頭を撫でてやったら、可愛い笑顔がさらに輝いた。


｢この子飼っていいアルか？｣

｢マミーに許可もらわなくちゃね｣

｢許してくれると思う？｣

｢さぁ、どうだろねー｣


心配そうに見上げる神楽はもう本当に可愛くて、あたしは実はシスコンなのかと思って苦笑する。神楽に目線を合わせるようにしゃがんで頭を撫でた。


｢よし分かった!お姉ちゃんも一緒に頼んであげるよ｣

｢本当アルか!!!？｣

｢うん、任せておきなよ｣

｢名前姉大好きヨ!!｣


神楽はガバっと抱きついてきて、あたしはもうデレデレで…。そして子猫はあたしと神楽に挟まれてギャアッと悲鳴をあげていた。


｢神楽、猫ちゃんが死んじゃうよ｣

｢おっと、いけないアル｣


急いで離れた神楽はニコニコと微笑んで、いきなりあたしの鼻にちゅうをした。あたしはびっくりして目をパチパチ。


｢マミーに教えてもらったヨ。ちゅうは好きな人にする挨拶アル｣


ヤバい、可愛いよ、可愛いすぎる!!思わず思いっきり神楽を抱きしめようとしたときだった。


｢名前ー!!｣


ドバーｯ!!!


いきなり兄さんの声がしたかと思ったら、次の瞬間あたしは床に押し倒されていて。


｢痛ーーーー!!なになになにすんの兄さん!!!!｣

｢名前姉大丈夫アルかー!!？兄ちゃんなにしてるアル!!　名前姉からどくヨロシ!!｣

｢うるさいよ神楽｣


兄さんがニコニコ言った。こういうときの兄さんはなんかヤバいときが多い。
兄さんはニッコリしてちょっと低い声で言った。


｢神楽｣

｢兄ちゃん早くどくヨ!!｣


あたしを助けようとして神楽は兄さんに蹴りを繰り出すも、軽々と受け止められた。


｢不意打ちは卑怯だよ｣


そのまま足をつかまれて動けずにバタバタする神楽は大声でわめく。


｢不意打ちじゃないアル!!ちゃんと真正面から攻撃してるヨ!!そして離せー!!!｣

｢攻撃の話じゃないよ、ちゅうの話｣


兄さんは神楽をポンと押して離して、神楽はその反動で後ろにコテンと転がった。
そして兄さんは、


｢俺もまだしたことないのにさーー、無知っていうのはタチの悪い最悪な特権だね｣


そう言った。
まだしたことないって…なんか発言ヤバくね??


｢兄さんどいてよ…｣


あたしは呟くように言ってみたけど、無視された。


｢兄ちゃん、名前姉もどいてって言ってるヨ。早く名前姉を解放するアル!｣


兄さんはすべてを無視して言う。


｢神楽、今度名前に手を出したら…｣

｢…て、手なんて出してないアル｣

｢殺しちゃうぞ｣


妹に向かって殺しちゃうぞって、かなりひどい兄だよね。ってか前から思ってたけど、兄さんと神楽はなんでか仲があまりよろしくない。３人で仲良くできたら楽しいのに、といつも思う。
神楽は涙目になって、


｢兄ちゃんなんて大っ嫌いアル!!!｣


そう言うと走って行ってしまった。神楽ちゃんの薄情者…。
残された猫ちゃんが呑気に毛づくろいをしているのが見えた。
あたしがそろそろと兄さんに目をやってみると、兄さんは笑顔でこっちを見下ろしていて、目線がガッチリ合った。


｢に、…兄さん…？｣

｢なに？名前｣

｢ど、どいてくれませんか…｣

｢んーーー｣


いやいやなに迷ってんですか…。
なんかこんなこと考えるのは兄さんに失礼なんだけどさ、…身の危険を感じるんだよね切実に。
そしてその不安は現実のものとなる。


｢名前｣

｢…なに？｣

｢ちゅうよりも進んだことしよっか｣

｢…｣


おいおいおいおいこの兄マジでヤバいよ本当に!!!!なにコレあたしこの人の妹だよね??血繋がってるよね??


｢兄さん、自分が何言ってるか分かってる？｣

｢うん、分かってる｣

｢…ヤバいよ絶対｣


兄さんがケタケタ笑った。いや笑い事じゃないでしょ…。


｢いいじゃん禁断の恋なんて憧れるでしょ？｣

｢いやいやいやいや｣

｢神楽のちゅうはいいのに、俺はダメなの？｣

｢ちょっと、それとこれとは話が違うって!!｣

｢えーーー｣


あたしは本気で暴れてやった。
そしたら、案外簡単に離れる兄さん。


｢あーあ、名前のちゅう奪われちゃったなー｣


なんて危ない発言しながら笑う。
まだ奪われてないよ、だって唇じゃなくて鼻だったもん、とは間違っても言わない。だって何されるか分かんないでしょ？

そのあと、兄さんにも頼んで子猫を飼うためのマミーの説得に付き合ってもらった。神楽と無理矢理仲直りもさせて、あたしは溜め息。
なんやかんやで、本気で嫌がれば兄さんは嫌なことしないし、優しいんだけど、この兄は本物のヤバい奴かもと思った日だった。















連鎖反応
シスコンの連鎖

だって、神楽が生まれてから、君は妹に首ったけなんだもん











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しののめ様へ
企画参加ありがとうございました!!!
神威の妹、神楽の姉という設定での神威ｼｽｺﾝ夢でしたー(＾＾)
神楽とﾋﾛｲﾝのｲﾁｬｲﾁｬぶりにぷっつんキレる神威さんというﾘｸｴｽﾄ。どうでしたでしょうか？
ちょっと神威さんﾔﾊﾞすぎですかね(笑)
不満がありましたら、拍手でもbbsでもドバーン!!と物申してやって下さいな。
ﾘｸありがとうございました!!

20090225白椿