「んむぅ〜〜神威団長〜〜」
「ん?なに?え?」
後ろからけっこうな力で抱き付いてきたのは、
「え?雛?」
「団長〜」
「キャラ違うよ」
心なしか赤っぽい彼女の顔を覗き込めば、きゃーっと言って背中に顔をぐりぐりしてきた。恥ずかしがっているらしい。
「雛ーどうしたのー?」
「むー」
「顔見せてー」
「やだー」
顔は背中に埋められたまま、くぐもった声が響く。キャラが違う。キャラが違うけど、
「可愛いからよし」
「あ、いたいた」
「あ、阿伏兎ォ、見て見て雛がおかしい」
通路の向こうから阿伏兎がいつもの疲れた顔で歩いて来る。阿伏兎は困ったように頭を掻いて、
「すまねぇ」
お酒の缶を見せた。
「…飲ませたの?」
「いや、あんまり興味津津に美味しいのか訊いてくるからよぉ」
「…」
「ほんの一口だけだったはずなんだが」
雛はがっちり俺の腰にしがみついている。顔も埋めたままだ。
俺は阿伏兎に微笑むと口を開く。
「間接チュー」
「は?」
「阿伏兎、雛と間接キスしたね?」
「…は?」
ドスッ!!
腹に一発入れておくことにした。阿伏兎はそのまま気絶した。力加減を間違えた。
「雛ー離してよー」
「やぁー」
「えー雛の顔見たいよ」
「やぁ」
また顔をぐりぐりする。こんな戯れ合いも悪くないが、このままじゃらちが明かない。というわけで、
「えい!」
ちょっと力を入れて体を反転させたら、雛は小さな悲鳴をあげて驚いた顔をした。雛の力なんてどうってことない。
「雛」
言ったら雛はものすごぉくニッコリして、
「神威ー」
言って今度は正面から抱き付いてくる。すごいなお酒の力。勢いでヤっちゃう感じが分かるよ。
「雛お酒飲んだんだって?」
「酔ってなーいよっ」
「そう?」
「うん」
今度は肩の辺りに頭をぐりぐりする。絶対に酔ってる。キャラが違う。キャラが違うけど、
「可愛いからよし」
「むぅー」
「よし、いい子だから離そうねー、このまんまじゃ何も出来ないからね」
「やぁだ」
「いやなの?」
「うん」
おお、雛が積極的だ。
「でも離してくれないと、ほら、通路の真ん中で動けないのは困るでしょ?」
「困らない」
「阿伏兎ォ、どうしよっか?」
倒れた阿伏兎は返事をしない。使えないヤツだ。
「雛、お願い離してー」
「やぁ」
「しょーがないなぁ」
俺はそのまま雛を抱き上げる。
「きゃあっはは」
楽しそうに笑う彼女に俺も笑いかける。
「とりあえず部屋行こうねー」
「うん」
「そしたらイイ事しようねー」
「いい事ぉ?」
「そうそうイイ事」
雛はニコニコと俺を見る。俺もニコニコと雛を見る。意味分かってるかな?
「うん、する!」
どうやら分かってなさそうだ。さすがに俺も、こんな卑怯なやり方はしないよ。苦笑して部屋に入ると、
「さ、いい子だから寝ようね」
ベッドに下ろすが、
「やぁだ」
雛は離れようとしない。おいおいマジか…
「ダメだよ雛、さすがに俺のブレーキにも限界はあるからね」
「やぁ」
「…襲うよ?」
「大丈夫」
「は?」
「襲われたら神威が助けてくれるもんねー」
もんねーじゃないでしょ。全く離してくれそうにないので仕方なく一緒にベッドに入った。
「むぅー神威ー」
「なにー?」
「好きー」
「…」
ギリギリな俺
思わず下半身が…
有り難い100000
そして一度はやりたいお酒ネタ!!
20090802白椿
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