「雛ー三つ編みー」
「はーい」
ソファの上、髪紐を受け取ると、そっと俺の髪に手をかける。くすぐったいけど心地よい。髪を触られるのは嫌じゃない。
「あ、そういえば」
「なんですか?」
「ううん、終わってからでいいや」
雛が髪を編み終えるのを待つ。
「終わりましたよー」
「ん、ちょっとこっち来て」
「なんですか?」
後ろにいた雛を前へ。
「こっちに来てから結ってない」
「え?」
「髪結わないの?」
雛が首を傾げた。
まっすぐに艶めく黒髪がそれに合わせて揺れた。
「ほら、向こうの世界では結ってたでしょ?」
「ああ…」
「結わないの?」
「…えへへ」
雛は恥ずかしそうに俯いて、
「面倒くさくて」
「はは」
ちょっと意外な言葉に噴いた。そっか、確かに面倒だね。俺も雛にやってもらってるし。
「じゃあ、俺の三つ編みも面倒?」
そう訊いたらニコニコと首を振る。
「面倒じゃないです、好きですよー」
好きという言葉にこっちまで笑顔になる。良かった。じゃあ、俺も、
「髪結わせて」
「え?」
向こうの世界で見た、髪をお団子にした雛はけっこう可愛かった。もっかい見たいなぁとか。
「ほら頭貸して」
「あ、え、いたたたた!!」
ちょっと髪を引っ張ったら雛が悲鳴をあげた。
「あ、ゴメンゴメン」
力加減が難しいね。雛はやわいからね。
「だ、大丈夫です」
「ん、じゃあじっとしててね」
いい子に髪を触らす雛。綺麗な黒髪はさらさらと指をすべって気持ちいい。ずっと触っていたい感じだ。
「ん〜っ、神威団長くすぐったいです」
「ちょっと我慢ね」
あんま難しいことは出来ないので、二つに分けてツインテールにすることにした。
あんまこういうの慣れてないから、二つに上手く分けるのだけでも少々てこずる。雛の髪がさらさらすぎるのにも問題はあると思った。
「よし、でーきた」
何とか結び終えて、完成したのを眺める。
「…あ」
「ど、どうですか…?」
二つに結ばれた髪を、ちょっと恥ずかしそうに触りながらこっちを見る。
なんて言うか、
鼻血が出そう
可愛い…
100000ってすげぇ
20090802白椿
[*前] | [次#]