「わーい!!久しぶりーなお日様だあ!!」
着陸したのは太陽がサンサンと降り注ぐ緑豊かな惑星だった。宇宙船の整備をするために数日間滞在するらしい。
夜兎にとって太陽は天敵だ。窓から差し込む光に眉をしかめる。不快なことこの上ない。
しばらく窓に張り付いて太陽にはしゃいでいた彼女は、くるりとこちらを振り向いた。
「団長!!あたし散歩してきますね!!」
嬉しそうな笑顔で言う。
「こんなに日差しが強いのによく行くね」
「だって太陽久しぶりですから、行ってきます!!」
そう言うと、もう待ってられないって感じで外に向かおうとする彼女。
何だか面白くなくて、
「待って、俺も行くよ」
そう言ったら、彼女は目を見開いた。
「え!!?でも団長、太陽苦手じゃないんですか?」
「大丈夫、ちゃんと傘持ってくから」
そう言ったら、彼女は頷いてニコニコしながら俺が準備するのを待っていて、その姿が変にウキウキしていた。だから俺までつられてちょっとウキウキしたり…
外への扉が開くと、眩しい光と共に肌がジリジリと痛み出す。傘を開いて忌々しい太陽に向けて突き出せば、光は遮られるが、それでも眩しかった。やっぱりウキウキするんじゃなかった。
「んーっ、気持ちいい!」
こんな不快な状況の中で、彼女は両手をいっぱいに広げてキャッキャッとはしゃぐ。
「眩しくないの?」
「この眩しさが好きです」
「そう、変わってるね」
「団長は大丈夫ですか?」
んー、ちょっと不快だなと答えたら、無理しないで下さいねと言う。
戦闘では俺の方が強いのにさ。弱い相手から心配されるのって、あんまいい気しない。いつもは俺が心配してあげてるのにね。
「あたしちょっと散歩してきますけど…」
「うん、俺も」
そう言うと、彼女はたたっと走り寄ってきて隣に並んだ。
「じゃあ行きましょうか」
テケテケと二人で歩く。
キラキラな太陽が鬱陶しい。
横を見れば、キラキラな光を受けて、幸せそうに微笑む彼女が俺に歩幅を合わせて歩いている。
「団長?どうかしましたか?」
「あ…」
視線に気付いた彼女がこっちを振り向く。
大きな瞳をクリクリさせて、不思議そうに俺を見る。
「団長?」
「何でもないよ」
たくさんの光を集めて輝く瞳。パチパチと瞬きする度に、光は零れるように揺れていた。
隣にいるのに、何だか違う世界のモノを見ているみたいで、不思議な感覚。気付かれないようにもう一度彼女を見る。
俺より弱いくせに…
キラキラ…
彼女には、俺が手に入れることが出来ないモノたちが自然と集まってくる。
彼女の頭上には青い空と太陽が広がっていて、俺の頭上には空を隠す傘が広がっている。違いはそれだけなのに…
「あっ、なんか向こうの方キラキラしてません?」
俺は太陽を振り仰ぐことは出来ない。
眩しすぎて、目を開けることが出来なくて、イライラする。
だけど…
「あっ!団長湖がありますよ!!何か地球みたいな所ですねー」
キラキラ笑う君の瞳。
こういう眩しさは悪くないかもと、楽しそうに笑う君に笑いかけた。
太陽に揺れる睫毛
太陽が苦手な俺は、
太陽の中で微笑む君に恋をする
密かに太陽に憧れる団長
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企画『しぐさの足跡』様提出
20090228白椿
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