きゃっきゃっと楽しそうに跳ねる彼女の周りには赤い血しぶきが綺麗に舞う。
白い肌に細い身体。楽しそうに戦場を駆け回る姿は俺たち夜兎そのものだ。だけど彼女はこの炎天下、傘をささずにはしゃぐ。つまりは夜兎ではない。


「あっはは、弱い弱い!」


ソプラノトーンの可愛らしい声が耳をくすぐる。


「強いね」


そう言ってやれば、彼女はニコリと微笑んで、


「団長様ほどじゃないですよー」


そう言いながら一人の胸を貫いた。ザシュッっと鈍い音と死体が倒れる音。そして彼女の可愛らしい笑い声。

太陽の光をうけて、生々しい血の赤がキラキラと光る。その中をぴょんぴょんと飛び跳ねながらニコニコ笑う彼女が眩しい。


「団長団長、早く次に行きましょうよ!」


そう言われても、この炎天下だと動きづらいのだ。だけど彼女は俺のことを気にかける気は全くないらしい。それどころか頭の中は戦闘一色。


「少しは上司を気づかいなよ」

「大丈夫ですか?やっぱ太陽ダメですか?」

「うん」


まんまるな目をパチパチさせて近づいてくる彼女だけれども、


「いたぞー!!敵がこっちにいるぞー!!!!」


そう叫ぶ声に歩みを止めて、


「よっしゃぁ!!団長行ってきまーす!!」


そのまま回れ右して素早く敵方へと跳ねて行った。


「はぁーあ、気づかえって言ったのに」


楽しそうに戦場を駆け回る君に傘はいらない。身軽でどこへでも行ってしまう。
そんな君を追いかける俺は夜兎なばっかりに苦労する。太陽が忌々しい。










兎のような君

手のかかる可愛い部下










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企画『神威夢企画』様提出
20090323白椿



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