もう溜め息を吐くしかない。なまえは俺をそんなに信用できる奴だと思っているのだろうか?
男の理性ナメんなよ。ヤる時はヤりますよ。オオカミに変身するのなんて朝飯前。簡単に男の理性というのは崩壊する。どれくらい簡単かって言うと、アレだアレ、阿伏兎に仕事押し付けるのと同じくらい簡単。なーんて言ってみても、隣の君は夢の中で楽しく微笑んでいるのでしょう。
「信用してくれんのはいいんだけどねー」
普通男の部屋でこうも無防備なことしないだろ。ってことは俺男だと思われてないのかもしれないね。
うーん、複雑極まりないなぁ…。全く、俺という存在を全く理解してないんだね。そんな無防備に寝顔晒しちゃってさ。
君にとって俺は何なんですか?上司?団長?夜兎?はたまたお兄ちゃんとか?
鈍感でポケポケしてるなまえのことだから、万に一つも俺の気持ちに気付いてるなんてことはないだろう。だから気付いてもらうにはこっちから伝えるしかないんだけどどうやって?
口で?
いやいやいやいやいやいやいやいや…そんなの柄じゃないよ。
愛ならいっぱい囁いてきたけど、本気の相手には恥ずかしくて言えたもんじゃないでしょ。じゃあどうしよ…?
体で?
いやいやいやいやいやいやいやいや…。それやったら嫌われるでしょ。でも、それが一番分かりやすいっちゃ分かりやすい。
…
うん、やっぱり行動で伝えよう。そうしよう。
うん、俺らしいね。
というわけで、
「なまえ」
「…」
肩にもたれ掛かっていた君をゆっくり押し倒す。
「起きて」
そしてソファがギシリと悲鳴をあげた。
愛よ伝われ
20090323白椿
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